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「5分に1回は笑いが起きないとプレゼンは失敗」とおっしゃる寺澤先生の講演は、人を惹きつける話が満載で、研修会に参加した医師達も大変熱心に講演を聞いていました。

寺澤先生のお話の中で印象に残った話は、患者さんやご家族との治療方針の決定についての考え方です。

先生は以下のように、4つの段階でお話されていました。

お話しされる寺澤先生
Ⅰ. “The Doctor knows best”
「あんた達は何も知らんでいい、任せておきなさい」
Ⅱ. Informed Consent
「リスクが書かれています、読んで同意されるならサインして下さい」
Ⅲ. Informed Decision Making
「幾つかの選択肢を挙げますから、御家族と話し合って決めて下さい」
Ⅳ. Shared Decision Making
「私から幾つかの選択肢を挙げさせていただき、
私と、御自身、御家族と皆で一緒に相談して決めましょう」

歴史的には、上から下に変遷しています。私は元来、「インフォームドコンセント(治療に際して、医師が病状や治療方針を十分に説明し、患者さん・ご家族の同意を得ること)」に疑問を持っていました。最終的な決断の部分を患者さん・ご家族に丸投げする医者の責任逃れのように感じていたからです。そのように考えていたこともあり、先生がこの話をされたとき、めざすところは「Shared Decision Making」であると、私は確信しました。そして先生の話に追加するならば、医者は患者さんにただ選択肢を示すだけでなく、「選択肢ごとに想定される結末」すなわち予後をきちんと説明することが大切だと思います。そのためには、医者は幅広い知識と経験が必要です。私は常々、医師達に「患者さんが求めるものは人それぞれであり、それに応えるためには専門的な医学知識だけではなく〝対応力〟も身につけなければならない」と話しています。今回の講演を通じ、健育会グループの医師には、その対応力で「Shared Decision Making」を実現して欲しいと感じました。

お話しされる寺澤先生

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