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竹川病院 田中院長

竹川病院に入職する前、急性期の病院で働いていた頃は、絶対に命は助けなければいけないと考えて治療していました。しかし、慢性期医療に関わり始めてから、寝たきりで、意識がなくて、ただ管に繋がれて生きているような状態でそのままにしていていいのか、ということを徐々に考えるようになりました。
基本的に私自身は、必要のない延命は絶対にするべきではないと考えています。しかし現実には、ご本人のリビング・ウイル※があったとしても、ご家族がその通りされるかというと、そうではないことが多々ありました。 例えば、ご本人の意思をご家族がしっかり認識しているかどうか、という点があります。医療機関としては、患者さんがリビング・ウイルをお持ちの場合は、当然、その通りにしたいと思うのですが、患者さんが元気な時にご家族としっかり話し合われていないとその通りにできないことがあります。ご家族がリビング・ウイルに反対するケースとしては、大きく3つくらい理由があると思います。一つ目は、親に対しての強い愛情があり、意識がなくてもどんな状態でもいいから生きていて欲しいと強く願われる場合です。
二つ目は、お金の問題です。親が多額の年金をもらっていたり、遺産相続で問題がある場合です。このような場合、親のリビング・ウイルがあるにも関わらず、できるだけ長く生かしてくれと言われるケースもあります。
三つ目は、世間体です。身近な家族や親戚は理解してくれても、やりとりのなかった遠い親戚や世間から、親に対して治療しないのか、冷たいのではないかと言われ、世間体を気にして、延命治療をしてくださいという場合です。
この3つの理由のうち、1と3はご家族に対して我々が真剣に延命した場合にどうなるかをお伝えして話し合うことで、大概理解を得られると感じています。しかし2の場合は、大変難しいと感じています。

※リビング・ウイル(living will):ある個人が、自らの希望を示すことができなくなるような健康状態に陥った時のために、前もってその時の対応についての自分の意志を文書にしておく手段のこと、またその文書。

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