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2. 西伊豆健育会病院の事例

西伊豆健育会病院は平成元年に開設しました。開院当初より、「絶対に救急を断らない」ということを掲げています。この病院を作るきっかけとなったのは、このエリアの患者さんが伊豆長岡にある順天堂大学病院に2時間くらいかけての搬送中に、出血多量で亡くなったことでした。このことが地元の議会で問題となり、「この過疎地域に救急の病院を作ってくれないか」と健育会グループに要請があり、当時60床の小さな救急病院を作ったのです。

一方、対照的な出来事として、個人的な話ですが、このような例もありました。家族で釣りに行った時、私の息子が誤って釣り針を顔に刺してしまったのです。幸いにも近くに大きな二次救急の公立病院があったので、電話をして子どもを連れていくと言ったら、「今日は日曜なので専門医がいない」と断られたのです。私は「二次救急なのに診れないのですか?私も医者なので、とにかく今から連れて行きます」といわば強引に子どもを連れて病院に行きました。行くと、恐る恐る出てきた看護師とは対照的に、医者が出てきて簡単に治療してくれました。聞くとその先生は、若い頃に竹川病院でアルバイトに来たこともあるということで話が合い、ざっくばらんに「先生、なんでこんな簡単なことも、この病院は断るんですか?」と単刀直入に聞いてみました。すると、「医者は対応できます。でも、事務が断ってしまうんです。公立病院だから、専門以外のことを医者がやって、何かあったら困るので」と答えてくれました。私は、その時そのようなことでは赤字にもなるし、市民のためにもならないと感じました。

西伊豆健育会病院は開院から27年経ちますが、救急を一度も断っていません。これも、民間でなければできないことだと考えています。

西伊豆健育会病院

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