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研修会の様子

チームづくりにおける医師の役割。

医師として周囲との関係づくりで大切なこととして、「自分の行動で周囲を勇気づけようと思う」「周囲が応援してあげたいと思うような工夫・アイディア・ビジョンを持つ」「チームの中で親しみが持てるような雰囲気づくりをする」「自分自身に満足度の高い医療行為では、チームにも感動を与えられるように心がける」など、チームづくりにおける医師の役割についても触れておられました。私は、医師はチーム医療のリーダーであり、リーダーとしての謙虚さ、正直さを持つことも大切であると感じています。天野先生のご講演や著書から感じられる「実直な人となりや謙虚な姿勢」に、天野先生のチームでは、先生の背中を見ていればチームは自ずと大きく育つのであろうなと感じました。しかし、講演の質疑応答の際に受講者の「チームを成長させ、育てるためのアドバイスを」との声に、「チームの結束を高め、良いチームを作るためには、5年はかかる。これまでの経験では、5年を経てチームは進歩・進化していく。」とおっしゃっていたことに、チームづくりの難しさを改めて感じました。医師が時間をかけて最良のチームをつくるためにこころ配りし、看護師やセラピストを導き協同することが、何よりも大切なのだと改めて感じました。

「Cure+Care≧100%」を目指す。

これからも手術を続ける外科医が目指すこととして、「CureとCareのバランスは患者背景、合併症、執刀医能力によって変わるが、患者予後は変えない。CureとCareの組み合わせが大切であり、合わせて100%を超えることを目指す。」とおっしゃっていました。私の考える質の高い医療は「医療技術」「介護」「生活活性」「ホスピタリティ」の4つの機能を、一人ひとりの患者さんのニーズ に合わせた適切なチーム医療によって提供することです。これを天野先生の考え方にあてはめると、「Cure:医療技術」「Care:介護、生活活性、ホスピタリティ」なのではないかと思います。これらが100%を超えることは、まさに質の高い医療の実現であり、天野先生のお考えに大いに共感しました。

お話しされる天野先生

医師は社会制度に則した医療を行うことを原則とする。
しかし、患者・医師双方が納得できる医療改革の志も持たなければならない。

「医師は社会制動に即した医療を原則とするが、一方で、いわゆる保険外診療となる先進・高度医療への志も持たなければならない」とのお話もありました。これは、心臓血管外科の分野で新しい領域を開拓・確立してきた天野先生だからこその重い言葉だと感じました。私も、少子高齢化の進行による医療人材の不足を危惧し経済連携協定(EPA)にもとづく看護師、介護福祉士候補者の受入れが決まる以前より政府に先駆けて受け入れを行ったり、医療分野の規制改革の実現により「公費負担増によらない医療サービスの質的向上と量的確保を実現する」ために、経済同友会や政府の規制改革会議などに参加することでその進展に寄与しているとの自負があります。私と天野先生とでは立ち位置が違いますが、国のため医療の明るい未来を切り開いていく、という意味において、共通する信念を感じました。

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