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学卒社会人フォローアップ研修の様子

例えば、日本航空という会社があります。その再建を稲森さんという有名な経営者が担当されました。「多額の税金を使って再建する。国民の税金を使って日本航空を再建するということは、日本航空が潰れていい会社ではなく、日本航空がならない存在であると国民の皆さんが期待するからだ」ということを明文化し、フィロソフィとしてまとめられました。稲森さんはそれを日本航空の新しいフィロソフィとして、何万人という日本航空の社員に配ったと言います。そしてその内容が浸透してくると、日本航空もきちんと再建してきました。フィロソフィとは、我々の組織ではミッションにあたると思います。

やはり常に組織は何のために存在するのかというのを自問自答するということは、大切なことだということです。

そして私が自問自答した結果、我々健育会グループのミッションは、「光り輝く民間病院グループ」としました。病院は大きく分けて、民間病院と公的病院(国立・県立・市立)があります。国立病院はすでにその名を変えていますが、17年前は、患者さんも働く医療人も公的病院こそが素晴らしい病院だと考えていました。お金に糸目をつけずに、いい医療をやっているのだと。それとは反対で、民間病院については、お金儲け主義ではないかという考え方もありました。
しかし当時から、私はそういう時代は長くは続かないと思っていました。国にお金がある限りは、医療は聖域ということで、金額を考えずにいい医療を提供できればいいのだと思いますが、医療資源には限りがある訳です。資源にも色々ありますが、その中でも財源は限りがあります。当時はまだまだ日本の財政に余裕があった時代ですが、すぐに限りが出てくると考えていました。ちょうど国鉄が多額の赤字を抱えて民営化した時代。国有鉄道だからと言って赤字は許されないという時代になってきていました。医療にも必ずそういう時代が来ると考えました。
「効率的で質の高い医療が提供すること」、これは民間でしか出来ないと考えました。あれから17年。国立病院は姿を変え、国立病院機構になりました。非常に限られた予算の中で職員は今がんばっています。そういう時代がきたわけです。

行政に過度な期待をせず、自分たちの努力で医療崩壊あるいは老人の孤独死などといった悲しい現実が、日本で起らないようにしていこうというのが、我々のミッションです。医療が危機に陥った時に、医療を支えて行くのは民間の活力だと私は考えています。「光り輝く民間病院グループ」というのは、そういう病院になろうということです。

次は、我々の理想像(ビジョン)です。それぞれの病院施設によって地域特性が違うので、病院の理想像は違う訳ですが、それを総合して健育会グループの大きなビジョンは、「クライアントの心を豊かにする病院グループ」です。

皆さんにとって大切なのは、自分の病院の理想像です。自分の病院はどういう病院を目指しているんだということをしっかり理解してください。病院の理想像を「病院理念」と呼んでいます。病院の理想像を職員全員がイメージしたときに、そのイメージが一致することが理想です。

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