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全ての演題が終わった後、亀山教授から以下の講評を頂きました。

今回は、食べることに関して、いくつかの演題がありました。私は、「マズローの欲求解消説」を思い出しました。マズローの欲求解消説は、まず食べること、すなわち生命維持からはじまり、自己実現と言う最高位まで展開しますが、今日の演題の中には、単純に食べることだけではなく、その先の自己実現に繋がるようなご発表があり、貴重な報告だったと思います。また食べ物に関連しましては、福祉の父と呼ばれる石井十次先生のことも思い出しました。石井先生は「人間はまず食べることを満たして、はじめて心が満たされる」という原理原則をお考えになられました。改めて今日のご発表からその内容を確認させてもらいました。

亀山幸吉 先生

介護老人保健施設しおんの発表を伺い思ったのは、私自身、中途障害、難病を受け入れる段階として3段階を考えています。それは、自暴自棄→混迷→自立という心的社会的状況です。この段階に寄って、ケアの在り方を考える・実践することが大切ではないかと思います。

介護老人保健施設しおさいの発表は、コミュニケーションがテーマでしたが、一般的にコミュニケーションと言うと、おしゃべりに一生懸命になると受け入れられがちですが、発表の中で‘傾聴’‘心を傾ける’というコミュニケーションの原理原則をあらためて感じました。

ライフケアガーデン熱川の発表の中で、「生活リハビリ」のお話がありましたが、(独)国立長寿医療研究センター生活機能賦活研究部部長の大川 弥生先生も生活リハビリと言うことをかなり強調されておられて、生活に繋がらないリハビリは意味がないというお考えですが、その内容をライフケアガーデン熱川の発表の中で確認させて頂きました。

ライフケアガーデン湘南その他の発表の中で、改めて、「ICFの観念」が改めて重要な意味をもっているのだと感じました。問題を根本から消去することに力点をおくよりも、その方がもっている特性、プラスの面を引き出すこと、すなわちエンパワーメントして、生きる力に繋げていくことが、介護の主力になるのだと感じました。

ケアポート板橋の発表を伺いながら、改めて福祉や介護の原点を教えられた気がします。福祉や介護は人権保障を基本にしてまいりました。生存権の保証は重要ですが、「ここにいて幸せである」と思って頂けるという幸福追求権と言うのも合わせて福祉の中で大切だと思います。またにそのようなことを考えさせられました。

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