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第10回 チーム医療症例検討会 in熱川 [日時]2015年7月11日(土) [場所]熱川温泉病院(リハビリテーション室)

2015年7月11日(土)、熱川温泉病院 リハビリテーション室にて、「第10回健育会グループ チーム医療症例検討会 in 熱川」が開催され、健育会グループの各病院施設から、約170名の職員が集いました。

今年は熱川温泉病院の創設50周年の記念の年ということもあり、久しぶりに病院内で開催されました。はじめに、聖マリアンナ医科大学 内科学(総合診療内科)教授・部長 松田隆秀先生より、「みんなで近未来の地域医療を考える」という演題でご講演を行っていただきました。

「みんなで近未来の地域医療を考える」ーすばらしいチーム医療に向けてー 聖マリアンナ医科大学 内科学(総合診療内科)教授・部長 松田隆秀先生 講演要旨

チーム医療について

  • チーム医療は、たくさんの職種が関わって成り立っている。チーム医療をうまく進めるには、他の職種を理解することが大切である。
  • どの職種についても、医療に従事することにより、「患者さんと、家族と、チームのみんなと信頼関係を築きながら社会・地域医療に貢献したい」という想いは一緒である。しかし、それぞれの職種によって、日々、やり甲斐を感じていること、満足感を感じていることは、職種間で異なっている。
  • 他の職種を理解し、お互いの立場を尊重することがチーム医療にとって重要である。
  • そして、チーム医療に必要なプロフェッショナリズムとは、「たとえ新人であっても、自分磨きをしている人。日々の振り返りによって倫理観の再確認し、自分自信の課題を見つける人。」である。
  • そのような人(職種)が集まると集団(組織)としてのプロフェッショナリズムが高まる。

近未来の地域医療に向けた新しい医師「総合診療医」

  • 近未来の地域医療に向けた、新しい医師「総合診療医」が誕生する。今年医学部を卒業した初期研修医1年目から対象となる。
  • 1999年 聖マリアンナ医科大学では、講座・診療体制が臓器別化した。これにより、専門性の高い医師を育てることはできたが、初診にあたる閾値は下がってしまったと言える。その課題を解決するのが総合診療医である。
  • 総合診療医は、6つのコンピテンシー「人間中心のケア」「包括的統合アプローチ」「連携重視のマネジメント」「地域志向アプローチ」「公益に資する職業規範」「診療の場の多様性」からなる。
  • 総合診療医は、発熱などのありふれた症状の中から、コミュニケーションと病態把握、診断、患者背景などから緊急性のある疾患、見逃してはならない疾患を見つけることが大切である。

近未来の地域医療を考える

  • 我が国の人口は減少傾向にある。しかし、細かく地域別に見ていくと、それぞれに状況が異なる。
  • 例えば、現在と2040年の人口予測を比較すると、日本全体では人口が減る傾向が強い中で、神奈川県の横浜北部や川崎北部などでは現在よりも若干増えるとの予測である。
  • 神奈川、東京の未来医療を考えるうえで、熱川温泉病院をはじめ、静岡—神奈川—東京連合での大地域医療の展開が必要である。

まとめ

  • チーム医療の素晴らしさを実感していただきたい。また、それぞれ職種の特性とお互いのやり甲斐を理解し、チームとしてのニーズを明確にして医療に取り組んでいただきたい。
  • 地域の特性を捉えた未来医療を考えていただきたい。また、大学と地域施設が連携し、医師、多職種を育てていきたい。
  • これから生まれる総合診療医を活用していただきたい。

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