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看護部門の演題が全て発表された後には、座長の叶谷先生から以下のような講評をいただきました。

叶谷先生これまで『1年かけてまとめられた知見を、健育会だけにとどめるのではなく、外部の学会にも発表してほしい』とお話してきました。そして最近では日本看護研究学会という看護の中では大きい学会で、研究が採択され発表を行っています。その中でも、回復期リハビリテーションやリハビリテーション関連のセッションは、ほとんど健育会グループの発表で占められています。これからの超高齢化社会において、この分野の発展は非常にニーズが高いにもかかわらず、回復期リハビリテーション病棟のナースの発表は少なく、とても皆さんの発表は貴重なものとなっています。そういう意味でこの分野で健育会グループの皆さんがリーダシップを発揮して牽引していける分野であると思います。今回も、日々一生懸命患者さんのことを考えて看護しているからならではの発表ばかりです。今年も外で発表するということを目指して頑張ってもらいたいと思います。

いわき湯本病院の発表では、認知症ケアということで、ベースラインの共有をしたいというのが意図の研究でした。常々言っているように、介入研究というのは介入が命です。多分、聞いている皆さんもその介入を真似したいということがあると思います。認知症ケアはとても奥深いのですが、今回はあくまでも共通性の高いみんなが最低限身につけるべきことということで、いろんな本ですとかユマニチュードの考え方を取り入れてこの介入は考えられていました。その理論的な根拠とか、認知症ケアの中で今回のケアがどんな位置付けなのか、ということをもっと説明すると非常にわかりやすかったと思います。
竹川病院の発表であったような、回復期リハビリテーション病棟のナースに着目した研究はなかなかありません。研究者の意図が、いただいた質問によってわかりやすくなりましたが、発表の中ではわかりにくかった。「回復期リハビリテーション病棟のナースの専門性とは何か」ということを、この結果をもとに今後の示唆を述べていただけると良いと思います。
西伊豆健育会病院の発表では、e-ラーニングという学習環境は整っているが、やっている人とやっていない人がいるということから、達成動機と個人の要因をあきらかにしました。しかし研究の面白いところでも難しいところでもありますが、今回は仮説通りではありませんでした。しかし、e-ラーニングの学習が楽しいという経験をすると、したくなるのではないかといういいヒントがありましたので、e-ラーニング自体の中身や、どうしたら楽しくなるかということを中身にも言及して考察すると次につながるのではないかと感じました。
石巻健育会病院の発表は、作り笑いでも効果があったというすごくセンセーショナルな結果であったと思います。これも介入の研究なので、介入の意味づけ、根拠、なぜ表情筋を刺激するとこんないい結果が出たのかということのメカニズム的なことも考察するとすごく応用が利くのではないかと思います。
熱川温泉病院の発表も介入研究でした。役割が違うとお互い理解し合いにくかったりするのが現場であり、目標を共有するということが協働だということで変化があったということは大事だと思いました。これも介入研究なので、一元化の計画の目的など、介入の意図的なところをもう少し説明するとわかりやすくなると感じました。
花川病院の発表は、非常に一般化しやすい研究でした。できれば次年度、結果を検証したいという意見があったので、ぜひ頑張ってやってもらいたいと思います。個別のアプローチも考えて、なかなかこのような研究はないですので、丁寧に次のステップに進んでもらいたいと思います。
次に生かすように参考にしていただければと思いますし、質問やご意見で会場からもたくさんのヒントをいただきましたので、それを力に変えていただければと思います。

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