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「介護の部」の発表後、座長の亀山 幸吉先生から、以下のような講評をいただきました。

亀山 幸吉 先生

大変貴重な発表とご質問をいただきありがとうございました。
本日の感想を6点述べさせていただきます。

(1)
リハビリテーション医学で著名な上田 敏先生は、「リハビリは機能の回復に限定しない、全人間的復権」であるといわれています。今回、そのようなリハビリの本質についてのご発表が聞かれ大変参考になりました。
(2)
単なる食事排泄等の介助にのみならず、かなり高度な人間の尊厳に関わるような介護がおこなれ、マズローの欲求階層説からしますと、生理的欲求にとどまらず尊厳欲求、自己実現欲求を実現する介護が行われています。QOLについても単なる生活の質にとどまらず人生の質という考え方もあります。そのことに関連したご発表がありました。
(3)
今回のご発表は全体的に、単独の専門職が成果を上げたということではなくて、チームアプローチの中で、大きな成果を出されていました。その点では今後ますます高齢医療、福祉等々の中でチームケアの取り組みが求められるのではないかと思いますので一層取り組みを進めていただきたいと思います。
(4)
多くのご発表の中で中途障害について、ご本人様の自己受容を促し成果を上げていたと感じました。ご本人様の心の痛みの共有なしに喜び の共有には至りません。今回のご発表の中では、大変困難な事例がある中で、それぞれ心の問題について相当深くアセスメント等々で関わられたと思います。相手の方の痛みを受け止め共有できたことで、喜びの共有に結びつけておられたのだと感じました。
(5)
自立と依存という問題もあります。依存的な状況を自立に向かわせるためには、相当程度の関わり、高いレベルの専門性が必要です。そういう意味においても、大変役立つ事例が発表されたと思います。
(6)
単にご本人様の問題だけを指摘するだけではなく、その方のもっている力、エンパワーメント等、どうやって引き出していくのか、ということについて関連するご発表事例も伺うことができました。

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