最新レポート

グループE

患者プロフィール
年齢:70代
疾病:塞栓性脳梗塞(心房細動)
入院目的:療養目的
経過
脳梗塞発症後より嚥下障害が顕著で、口腔内の唾液も処理できない状況であった。訓練し、嚥下評価を行ったが、改善が見られずにいた。経鼻胃管は苦痛が強く、自己抜去を繰り返す。主治医から家族に、PEG挿入後も肺炎は続くことが予測され病状の改善は期待でいないと説明がされる。家族は苦痛を緩和させたいとPEGを希望、本人もPEGを試みたいと同意される。転院後、肺炎が改善せず、結果PEG造設には至らず14日後に死亡。
ディスカッションポイント
主治医の説明は正しかったのか?
医師のディスカッション内容
  • ご家族が胃瘻を入れれば状況がよくなるのではないかという期待がかなりあるように見受けられ、主治医の説明の中で「胃瘻を入れることで、すべてを解決できるわけではない」というところを、もっとしっかり説明していくべきではなかったかと思われた。
  • 嚥下機能がかなり落ちてきている方の肺炎の予後についても、主治医の方からご家族と患者さんに説明をすべきであった。
  • 結局この患者さんは転院後に亡くなっているので、当院でできる抗生剤や酸素等の治療の説明をして、様々なうちの病院でもできる治療を選択していけばよかったのではないかということが話された。

医師研修セミナーの様子

グループF

患者プロフィール
年齢:70代
疾病:脳梗塞 糖尿病 認知症他
入院目的:褥瘡の治療、再度自宅に戻る
経過
在宅診療中で、手のひらサイズのポケット化した褥瘡治療のため、当院に入院となった。寝たきりの状態、補液を行いながら、経口から食事が50%以上は摂取できていた。入院当初、既往も多く、状態が悪い方向に行く場合がある旨は説明されていた。朝方に発汗・Spo2の低下、意識レベル低下があり、急性心不全が出現、家族は専門の医師に診療を行ってもらうことを選択され、転院となる。転院後、19日後に死亡。
ディスカッションポイント
主治医はどういう説明をしたと考えられるか?
医師のディスカッション内容
  • 70代ということで、比較的若い。一方で、手のひらサイズということで、必ずしも小さくない褥瘡があるということで、寝たきりと書いてありますが、動けないので、状態としては、かなり悪いのではないか。一方で、補液を行いながらも食事が50%以上は摂取できていたということで、場合によっては、在宅に戻れるのではないかという印象もある。
  • 循環器の立場からだと、この状態でも、救命できる可能性はあると思うので、このような患者さんが転院を希望された場合、診ると思った。
  • 転院先で19日後になくなったということは、循環器の疾患としては、微妙な期間で、運ばれてすぐに亡くなったということであれば、救命できなかったということだと思うのだが、19日ということあれば、ご家族もある程度納得できた治療経過だったのかもしれないという意見もあった。

医師研修セミナーの様子

教育・研修