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尊厳に関して

尊厳に関して

  • 1981年の世界医師会総会でリスボン宣言として「患者は、人間的な終末期ケアを受ける権利を有し、またできる限り尊厳を保ち、かつ安楽に死を迎えるためのあらゆる可能な助力を与えられる権利を有する」という内容が宣言されている。これは、日本医師会のホームページにも出ている。
  • 改めて今の現状は、無意識のうちにリスボン宣言に反することを行なっているのではないかと考えている。

安楽死について

  • 2017年6月に再びオランダに行き、安楽死を行なっている医師と話をする機会があった。
  • その方は、安楽死は本来行うべきではないが、患者さんと長い付き合いがあり、かつ患者さんが望めば叶えてあげたいと思うとおっしゃっていた。
  • オランダでも、あくまでも安楽死は違法である。しかし、ある手続きに則って行えば罰しないとされている。
  • 日本は家族の都合で死が翻弄され、オランダでは自分の意思で死を選ぶことができる。

日本の高齢者医療で大切なこと

  • 日本の高齢者医療で足りないことは、やはり「患者本人の意思を反映させること」である。しかし、このことが一番大切なことだと考える。
  • 2007年に厚生労働省が「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」を発表している。
  • そこには「患者の意思決定を基本とする」と書かれている。そして二番目に、患者の意思を確認できない場合は、患者の家族が本人の意思を推定するとされている。家族が「親に長生きしてほしい」というのではなく「自分が本人だったらどう思うか」を考える。それもできない場合は、医療チームが家族と話し合うとしている。
  • こういう手順を踏めば、おそらく訴訟問題にはならないと思う。
  • いずれにせよ、自分がどのような死を迎えたいかを家族に伝え、書き残す必要がある。そして家族と話し合う必要がある。

高齢者の終末期医療に必要な視点

  • 「尊厳」:人として死ぬということを考えなければならない。
  • 「緩和」:同じ死ぬなら穏やかな最期を迎えて死にたい。
  • 「倫理」:医療を行うことはむしろ老人虐待である。倫理は人によって違うので、悩ましいが、悩んだ時は「自分が望まないことは人にやらない」ということが大事だと思う。
  • 「患者の意思の尊重」そして「医療費増大を防ぐ」という問題があると思う。どこの病院も非常に厳しい経営状況であるが、流れとして、高齢者医療は変わっていくと考えている。その為には先を見据えて今からやっていかなければならない。いずれ高齢者の終末期は自然な流れになると思う。

講演の後には、質疑応答の時間が設けられ、活発な意見交換が行われました。

高齢者の終末期医療に必要な視点

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