Vol.193 新入職員に直接、グループが目指すべき方向性を話しています。

「責任を取る人間が明確」であり「決断のスピードが早い」
それが民間の強さである。

皆さんは、なぜ民間と公的機関はそのように違うのかと思うかもしれません。その大きな違いは、民間は「責任を取る人間が明確」であり「決断のスピードが早い」ことです。公的機関はその点が曖昧であることが多く、また様々な決め事にも時間がかかるのが欠点であると感じています。

その最たる例が、東日本大震災時の石巻港湾病院(現 石巻健育会病院)です。

2011年3月11日の東日本大震災において、石巻港湾病院は建物の1階の天井にまで達する津波で、壊滅的な被害を受けました。この時、職員は全ての患者さんを3階以上に上げて守り抜きました。しかし残念なことに、このような状況にあっても民間病院であるがゆえに、公的な支援はほぼ受けることができませんでした。

東日本大震災 支援復旧活動

そこで健育会グループは私の指示でグループの総力をかけて人員や物資を送り、病院を支え、医療を継続しました。同時に、被害を受けた1階の改装工事も急ピッチで進めました。補助金などを待っていられる状況ではありません。その結果、石巻港湾病院は約5ヶ月後に完全復旧を果たしました。そしてその後、2015年には津波のこなかった地域に病院を新築移転し、病院名も「石巻健育会病院」と新たにして現在に至ります。

2015年 石巻健育会病院 新病院完成

その一方で、近隣の公立病院は津波の後、3日で復旧を断念して総員退避し、患者さんは他の病院施設に搬送されました。公立ということで各方面から支援を受けられたにもかかわらず、そのように早くに復旧断念をした経緯は、組織が大きすぎて適時適切に動けなかったことが原因だったようです。その後、その公立病院が別の場所へ移転し、医療の提供を再開したのは2016年9月、震災から約5年半後のことでした。

この例を見てもわかるように、民間というのは「決断のスピード」が早く、時に大胆に行動することもできます。先日の北海道胆振東部地震においても、北海道の花川病院に2か所からフェリーを経由して支援物資を迅速に送りました。これが民間の強さ、そして健育会グループの強さであると思っています。

北海道胆振東部地震 支援活動