Vol.207 第21回フォーラム「医療の改善活動」全国大会 in 仙台が開催されました。

シンポジウムは、1日目のテーマが「医療のTQM推進を考えるⅠ リハビリテーション生産方式」、2日目は「医療のTQM推進を考えるⅡ 看護生産方式」でした。各日3人ずつ演者が壇上に上がり、約15分の講演を実施。その後、3人そろって登壇し、会場からの質問に答えるという形で進行しました。リハビリテーション生産方式では、座長を医療のTQM推進協議会の安藤理事長と北島政憲事務局長が務められ、大阪市立大学医学部付属病院リハビリテーション科副科長の池淵允彦先生、公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院リハビリテーション部の寺山雅人先生、株式会社麻生飯塚病院リハビリテーション部技師長の井本俊之先生がご講演されました。

最初に登壇した池淵先生の演題は「集中治療室から早期社会復帰へ~リハビリテーション早期介入プロトコルの試み~」。大阪市立大学医学部付属病院には、リハビリテーション科専門医が1人しか在籍していないため、連日のリハビリテーション診察だけでなく早期診察も困難な状況に陥っているそうです。そこで、同院は救命救急センターの協力を得て、大阪市大式早期リハビリテーション介入プロトコル(GODZIRA protocol:Goal Directed Zooming In Rehabilitation Activity)を作成。ICU入室患者に対して早期リハビリテーション介入を行っています。今年4月から同プロトコルを導入しており、短期間ながらICU退室までの日数、歩行獲得までの日数、入院期間のいずれにおいても短縮が認められているとのことでした。

続いて寺山先生は「当院のリハビリ生産方式を考える~JCI(Joint Commission International)の視点から~」という演題の講演でした。倉敷中央病院は、2016年3月に国際的な医療機能評価機関であるJCIの認証を、近畿、中国、四国地方の病院で初めて取得。今年更新しました。「患者安全」や「品質改善」など14の分野、約1200項目にわたって評価され、組織的かつ統率的に統一されたプロセスのもと、入職当初から職務に関するオリエンテーションを行い、職員の成長のための教育・学習機会を提供しています。同院リハビリテーション部では、人材開発センター主催の多職種合同研修に加えて、同部独自のフォローアップ研修も実施。さらに、カルテ記載の監査を多職種で行い、リハビリテーションという処方・実施の室の管理と改善を進め、リハビリテーション生産方式に不具合が生じないように努めているという話をされました。

最後の井本先生の演題は「『最適なリハビリテーションを患者に届ける』リハビリプロセスの標準化と情報共有を通して」でした。飯塚病院は、2015年6月から同院の改善の型であるKaizenワークショップ(以下KW)を利用し、リハビリプロセスの標準化を行いました。2016年1月からは、作業療法士を同院内の改善推進本部(以下KPO)に派遣し、1年2カ月におよぶ研修の後、「現場KPO」としてKW活動を支え、患者に最適なリハビリを提供することを目指しています。その結果、リハビリ活動が標準化され、カルテ記載内容から情報を得やすくなり、報告・相談時の緊急度マップや報告・相談のツールを使用することで患者情報の報告にかかる時間が短縮されました。さらに理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の連携カンファレンスを設けることで、リハビリ方針の共有も可能に。他にもさまざまな成果が表われているそうです。

大阪市立大学医学部付属病院の池淵先生

倉敷中央病院の寺山先生

飯塚病院の井本先生

座長の安藤理事長(左)と北島事務局長(右)