Vol.228 「第15回看護・リハビリテーション研究会」が開催されました

会の冒頭で私からは次のようなお話をしました。

前年の本研究会、並びに先日のTQMセミナーに続いてオンラインでの開催となりました。臨場感が足りない部分もありますが、一方では多くの人が参加できる利点もあります。

今回は、吉村先生に講演をいただくということで、私も非常に興味を持って楽しみにしています。栄養の観点から専門の先生の話を聞く機会はそう多くありません。人が最後まで元気で過ごすために、口からものが食べられる=栄養が摂取できていることは非常に大きな要素だと思います。

また、事前にみなさんの研究発表の抄録を読みました。15回目ともなり「科学的な考察を身につける」といった研究意義は十分に浸透していると感じていますが、一方で「研究の先にあるもの」については手探り状態である印象も受けました。研究の成果によって、健育会グループを頼って来院される方々に対して私たちは何ができるか。統計的にまとめられてはいるものの「現場で患者さんが享受する」観点から考えた場合には、研究課題そのものが少し狭いと感じる演題も見受けられました。

加えて、継続研究が少ない。1〜2年前の研究が実際に結果をもたらしているのか。効果があったとした「確証」が、日々の業務につながっているのかがわかりません。以上が、抄録を読んだ限りの私の印象です。

本日が、これから1年のスタートラインとなることを願っています。

研究発表の前に、「医療スタッフが知っておくべきサルコペニア」の演目で、特別講演をいただきました(オンライン)。講師は「熊本リハビリテーション病院」サルコペニア・低栄養研究センター センター長の吉村芳弘先生。多くの受賞歴を持ち、非常に権威のある先生です。現在は、熊本県で地域を含めた取り組みなど「医学における地方再生」ともいえる幅広い活躍をされています。

講演では、「診療ガイドライン」に基づくサルコペニアの診断基準や原因、診断の重要性を解説。さらに、罹患者の症状変化から推察される危険要因や、サルコペニアが及ぼす影響など、約30枚の資料や出演されたテレビ番組の映像をもとに50分ほどのお話をいただきました。

なかでも先生が着目しているのは「栄養」。同院で取り入れている食事療法やその調査結果などを発表くださいました。これまでにない観点から回復を促す、興味深く貴重な講演でした。

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