最新レポート

後半の演題発表後、庄司看護師長より講評をいただきました。

第13回 TQM活動発表セミナー

後半9大発表された皆さんお疲れ様でした。
まず業務の傍ら活動を続けた皆様に敬意を表したいと思います。本当にお疲れ様でした。

西伊豆健育会病院:ポータブルトイレの使用は安易に考えがちです。しかし排泄の自立支援という視点から退院後を見据えており、その先の医療の質を考えた活動だったと思います。まさに地域包括ケア病棟の目指すべき姿だと感心いたしました。目標値が割合で設定されていました。おそらく、活動前後の対象とした患者さんが同一でないというところで、ベースの数値が違うから割合で出したのだと推察いたしました。活動中、何名の患者さんにアタックして、何名が日中のポータブルトイレを使用しなくなったのか、具体的な数値を加えるとより効果が見えやすいと思いました。
地域包括ケア病棟での活動ということもありますので、在院日数や在宅復帰率の変化についてはご発表がありましたが、そのほかFIMの変化やリハビリとの関連性などを確認しながら活動を継続され、また共有していただきたいと思いました。

ライフサポートひなた:ご利用者のQOLを高めるという視点に立ち、余暇時間の充実を目指した活動でした。対策の中で、ご利用者主体で取り組んだ取り組みがありました。職員が主体となりがちなTQM活動ですが、ご利用者を巻き込んだという点でご利用者の持てる力を引き出す活動であったと思います。抽出された要因の検証を加えるとより良いと思います。抽出された要因は仮説であり、机上の空論です。これが真の要因かどうかの検証を、事実やデータに基づいて検証することが求められます。また質問にもありましたが、テーマが余暇時間ですから、余暇時間がどのくらいあって、ご利用者がどのように過ごしていたかの現状把握をすると、効果の確認で変化が確認できたと思います。

ライフサポートねりま:余暇時間という点で前の発表と同じテーマでしたが、全く違う視点で、興味深く聞かせていただきました。活動の根拠に説得力が見られました。施設全体で取り組む意気込みとチームメンバーの意識の高さを感じました。質問の中にもありましたが、現状把握の中で活動内容の把握などを多面的多角的な調査を加えること、そして重要要因の検証を加えるとなお良かったと思います。目標達成には至りませんでしたが、何よりご利用者の生活の質を考えた活動ですので、ぜひPDCAを回して活動を継続され、成果を共有していただきたいと思いました。

ライフケアガーデン熱川:プロセスの展開がQCストーリーに則っている活動でした。特に現状把握のところで重点思考といって、重点の絞り込みがうまくできていました。つまり何を攻撃するのか、攻撃対象となる視点を決めているところです。この活動でいうと満足度の低いご利用者になります。
全員を対象とするのではなく、まず満足度調査で低い方を対象としてアタックしています。こうすることによって効率的な活動と成果につながっていくと思いました。また、重要要因の検証も非常に丁寧だと感じました。とても参考になりました。作成したアセスメントシートが情報共有に繋がり、より良いレクリエーションの提供や介護全体の質向上につながっていくと思います。このことから、標準化と管理の定着のところでは、教育の視点を加えていただいて、活動したことが今後も水平展開できるようにすると良いと思います。

石巻健育会病院:テーマの設定する際に、まず問題がどこにあるのかを明確にしていたこと、また病院理念と問題解決の関連が明確であったことが説得力に繋がりよかったと思います。ご質問にもありましたが、回復期リハビリ病棟での活動であるということを考えると多職種がキーワードであり、そこが気になる部分でした。これから、医師や栄養士さんの参加をどうしていくのか、真剣に考えていかなければならないと思いました。また標準化と管理の定着では、活動で構築されたシステムを継続していけるかという視点で考えなければなりません。ですからリハの職員だけではなく、ここも多職種の関わりがもっとあってもいいのではないかと思いました。

花川病院:介護福祉士さんを主体とした能動的な活動で、素晴らしいと思いました。日頃の業務に疑問を抱き、自分たちで改善しようとする意欲、行動、そして成果も出ていました。当院でも参考にしたい内容だと思います。電子カルテの入力について、段階を踏んで計画的に進めたこと、また伝達申し送りノートを廃止するという思い切った対策。このような対策が具体的でかつアイディアが感じられる内容でした。また、目標の100%になるまで諦めずに追加対策を続けたことが達成に繋がったと思います。活動の中で、重要要因の検証を加えると真の要因の抽出に繋がりより説得力が増したと思われます。また今後の活動では客観的データをもとに評価を行うと入力における課題が見えやすくなり、介護の質向上にも繋がっていくと思いました。

介護老人保健施設しおん:患者さんやご利用者の楽しみに一つである入浴。しかし時にリスクを伴うこともあるため、安全安心であることがより優先され、ケアするスタッフがは細心の注意をすることが求められます。今回入浴介助について時間軸でのふりかえりからケア内容を見直し、統一したことから時間通りの入浴タイムとなり、また、介護技術の向上にもつながる活動であったと思います。現状把握のところで、入浴の作業工程ですとかスタッフの人員配置の把握がもう少しあるとなお良かったかな思います。質問にもありましたが、この活動により業務は確かに効率化されたと思います。ですが、ご利用者のニーズや満足度この辺りを追求していただきたいと思いました。また標準化と管理の定着では、一連の手順をマニュアル化しておくとそれがスタッフへの水平展開につながると思いますので、今後の活動に期待したいです。個人的には入浴タイムズというチーム名に惹かれました。

介護老人保健施設しおさい:テーマや活動内容から、スタッフ一人一人のコスト意識の高さを感じました。素晴らしいです。現場を預かるスタッフは、作業工程とかケア内容に関心が向きがちですが、こちらのチームは介護報酬改定の内容を受けて、スタッフ一人一人が立ち上がり、高い意識で対策を行ったようです。意識の変化は行動の変化を生み出し、その好循環が成果をもたらします。その代表的な活動事例でありとても参考になりました。結果、目標は達成され、ご利用者と関わる時間が増えたという効果もあったようです。効果の確認では提供時間が増えたことによる利用者の声や満足度の変化、ケア内容の変化などの検証を続けていただくと良いかなと思います。それが介護の質に関わる重要なデータになると思いました。

竹川病院:インシデント報告の転倒転落に焦点を当て、年単位でのデータ収集と分析、また活動期間が7年9ヶ月にも及びPDCAを回しながら続けた活動でした。レベルゼロの報告数アップで、予防意識が変化するという成果はとても大きく、またレベル3発生ゼロという成果にも繋がっていました。
こうした医療安全の取り組みの継続が患者さんの安全を守り病院の質向上にも繋がっていくと思いました。活動前後のデータの比較では、同じ尺度でデータ測定をするとより成果がわかりやすく伝わりやすいと思いました。標準化と管理の定着ではインシデント報告について半期ごとに分析するとなっていました。分析する時期は適切か、どのような事例をどのような手法で分析を進めていくのか、今後も共有していただきたいと思いました。

全体を通しまして、目の前の活動が結果、何につながる活動なのか、常に考えながらPDCAを回し活動すること、そしてその活動を継続していくことが大事であると改めて学ばせていただきました。このような公表の機会をいただき感謝します。ありがとうございました。