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講演要約

■日本社会において人間力を養おうというとき、中国古典を学ぶことは有意義である。
なぜなら、中国の学問は、人の上に立つ人間がいかに社会や組織を良くするかを考えた実学だからだ。例えば、論語を読み解くと、いかに人間力を磨き、下から信頼されるかが書かれている。論語はまた、現在の日本の常識の基にもなっている。

■人間力とは言い換えると品性や品格のことである。知識はあるが実際には品性下劣な人物と、知識はないが品性の高い人物のどちらに着いていきたいか考えたとき、誰もが人格優れた後者を選ぶ。論語にも欲望を抑え、同じ過ちを決して繰り返さず、品格を磨いてこそ高い人間力を備えた人といえると書かれている。

■良きリーダーとは品性豊かで感情のコントロールが備わっていることと、常に信頼される人物であること、そして対人関係においては良き行動のルールを無意識レベルで実践できることが条件だ。また人を率いるには共感を得る必要があるが、論理性や合理性に則った説得では得られない。論理を超えた感情とは体で感じるもの。たとえばどんな厳しい会議でも最後にひとつ笑わせて一体感を持たせる事等、また人間は、腑に落ちると行動に移しやすくなるものだ。

■近隣との協調が重要だった農耕民族の日本人には、品性や品格をもって和を成すこと、徳を身につけることの大切さを説いた論語が理解でき、あっという間に浸透した。世界中で称賛されている日本人独特の対人関係や、ビジネスにおける常識的行動などはまさに論語をなぞらえている。

■成功する企業とはリーダーが100%の力を120%発揮することではない。本当のリーダーとは自分に70%の力しかないことを自覚し、周囲の力を最大限に発揮させることにある。チーム医療も同じように、個々の力をいかにリーダーが結実させるかにあるだろう。健育会グループの病院・施設内でのチーム医療をいかに活かしていくかは、自分たちの価値観、またクライアントが何を求めているかをしっかり把握することではないだろうか。

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守屋 淳

教育・研修