最新レポート

「介護の部」の発表後、座長の亀山 幸吉先生から、以下のような講評をいただきました。

亀山 幸吉 先生

大変貴重なご発表、フロアからの熱心なご発言、ありがとうございました。
主に4点ほど講評ということでご報告させていただきたいと思います。

1点目です。難病中の難病と言われるALS等、大変重い障害の方々への事例が多くありました。そのようなご利用者に対して、生活支援・自立支援などチームでの実践を試みられ、単なる集団的アプローチではなく、専門性を活かしたアプローチが行われているご発表がありました。また、事務職の方も含めたチームアプローチなど、施設総体でチーム実践が試みられており、施設の総合力を感じました。

2点目です。法律についても、従来の排泄・入浴・食事等々の三大身体ケアの重視型から、心身の状況に応じたケアということで、コミュニケーション重視型に法改正して変わってきています。そのような中、様々なコミュニケーションを行い、動機付けや意欲付けという大変難しい課題に対してチャレンジングな報告がありました。

3点目です。ほとんどの事例が、先天的な障害ではなく、後天的な障害の事例でした。後天的な障害の場合、私は主に3段階の過程があるのではないかと考えています。3段階は、「自暴自棄」「混迷」「自立」です。学者によっては4段階に分ける方もいらっしゃいますが、私自身の介護実践から考えますと3段階ではないかと考えています。この3段階にあるご利用者について、受け止めておられる報告がございました。

4点目です。従来、ややもしますと、隔離収容型でなるべく外に出さない介護が行われていたわけですが、報告では在宅も含めて外に出たいという要望にその方の状況に応じて積極的に応えていました。福祉や介護の基本である人権保障の観点からも大切なことだと感じています。

最後になりますが、最近、週刊誌等でも誤嚥性肺炎を防ぐことが重要なテーマとして取り上げられています。報告の中でカラオケに取り組んだ事例がありましたが、カラオケも場合によっては誤嚥性肺炎を防止する方法と聞いておりますので、ご報告は大変貴重であったと感じました。
リハビリテーション医学で著名な上田 敏先生がおっしゃった「全人間的な復権」というのがリハビリの大きなテーマとなっておりますし、現在話し合いが進んでいる介護福祉法の改正点も、リハビリを非常に重視する方向で検討がされているようです。そういう観点から、健育会グループの今日のご発表は大変先駆的な事例であったと言えると思います。大変貴重なご発表、熱心なご助言をありがとうございました。

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