健育会グループでは理想の医療を実現するために独自のメソッドに基づき経営を行っている。
健育会グループの病院では、診療行為に関する責任と病院経営の責任とを明確に分離し、診療部門を管轄して医療の質を管理する「メディカルディレクター」と、経営部門を管轄して効率的な経営を実現する「マネージング ディレクター」を配置するツートップ制という体制をとっている。それぞれの専門領域から組織を支え病院経営を行う体制を導入することで病院経営を最適化している。
BSC(バランストスコアカード)は企業の経営戦略に用いられる業績評価システムであるが、もともと健育会グループが実践していた経営管理の手法と考え方が重なる点もあり、米国シアトルのスウェディッシュメディカルセンターとの共同プロジェクトで現在の仕組みを構築した。
グループのMVV実現のために、それぞれの病院に関して医療の質・組織管理・教育研修・財務・患者満足の5つの視点を複数の指標により数値化して業績を評価している。毎月の結果は、職員にも情報開示し病院がどのような経営状況にあるかを共有できる仕組みとなっている。安定した経営を継続するには、データに基づいて科学的に管理することが必要不可欠であり、このBSCの仕組みはグループの財産ともなっている。
医学的観点から見た成果を可能な限り定量化することによって病院全体の医療の質を測定し、管理しようという考え方。患者満足度は表層サービスを、医療の本質サービスをこのクリニカルアウトカムの指標として活用している。急性期病棟と慢性期病棟では、指標の項目が異なる。BSCの評価項目の1つである。
健育会グループでは、管理会計の手法により予算管理を行っている。予算とは、精緻なデータ分析に基づいて策定された一会計年度に確実に達成すべき経営上のコミットメントのことである。各病院・施設だけの目標値ではなく、グループ全体が予算を基に運営される。BSCの評価項目の1つである。
提供した医療サービスのうち表層サービスを測定する手段の一つとして、患者さん・ご家族の満足度を調査している。入院時・退院時に配布したアンケートや院内「ご意見箱」に投函されたご意見は、本部での集計・分析されて経営目標として現場にフィードバックされ、また具体的なご要望に対して迅速な対策を講じている。医師は信頼されているか、看護師に安心感を抱けるか、セラピストは専門性の高いリハビリテーションを提供しているかなどに関するアンケートを行っている。BSCの評価項目の1つである。
健育会グループは、グループの病院・介護施設で働く全ての職員を対象にした職場環境調査を年2回実施している。株式会社ケアレビュー社が集計・分析した調査結果は、各病院・施設にフィードバックされ、職員が働きやすい職場づくりに活用されている。BSCの評価項目の1つである。
健育会グループの病院経営のノウハウとフューチャーアーキテクト社の情報システム構築技術とを融合させた病院経営管理システム。財務分析のみならず、医療の質や患者満足度など病院経営管理全般に関わる情報を集約して、病院経営全般の改善策の立案までサポートしている。BSCに基づき迅速な運営管理や効率化・質の向上が可能である点、これまで各職種ごとに管理されてきた情報を全職種で効率的に共有できる仕組みにより、チーム医療の円滑化を図る点に特色がある。
PDCAとは、計画(Plan)・実行(Do)・検証(Check)・改善(Action)のマネジメントサイクルのことを言う。健育会グループでは、各病院・施設ごとの施策について、計画(Plan)と検証(Check)を本部が、実行(Do)・改善(Action)をマネジメントディレクター/メディカルディレクターが担当。常に計画と検証、実行と改善が行われるように、このサイクルを高速回転させている。
「ルールを決めて徹底すること」と定義し、管理職の役割は、部下がルールに反しない仕組みを作ることである。