Vol.252 新型コロナウイルス“第6波”による感染状況とグループの対策、今後について

今回のクラスター発生に関して着目すべきは、感染者数の多少だけでなく「初期段階での対応」です。ケアポート板橋で陽性者が出たタイミングは、都内の感染拡大と重なり、転院がむずかしい状況でした。そこで、グループのコロナ専用病院・石川島記念病院の医師らに往診を依頼。施設内で早期治療を実施できたことで、利用者の重症化を防ぐことができました。
世間では人流抑制が求められていますが、オミクロン株は非常に感染力が強い。ただ人の流れを止めたところで、感染を抑えることは困難です。多くは軽症で回復できますが、高齢者や持病のある方に関しては重症化する可能性も否定できません。“感染防止”だけに目を向けるのではなく、“初期治療”も重要なのです。

先日、琉球大学病院の藤田次郎教授が取材に応じているニュースを見ました。藤田教授によると、オミクロン株による致死率はインフルエンザよりも遥かに低い。しかし、亡くなってしまった方の多くが高齢者であった、と。高齢者や持病のある重症化リスクの高い方をいかに守るかが重要だと話していましたが、わたしも同じ意見です。
例えば高齢者施設で感染が確認された場合、転院先を待って何もしないのではなく、その時間で適切な初期治療をすることが重要。幸いなことに、オミクロン株には初期の抗体療法が有効です。また一部報道にもありますが、飲み薬が承認され、まもなく新型コロナウイルスはインフルエンザを同等の扱いとなるでしょう。高齢者や病気を持つ患者と接する機会の多い我々としては、今後も初期治療に注力したいと思います。

今回の対応には、グループ内外で多くの力があったことを感謝しています。職員・スタッフを始め、グループ内他院からの派遣応援や地域連携による支援もありました。これからも、わたしや本部メンバーは現場と同じ立場で取り組みます。「One Team」で、一緒にこの波を乗りこえていきたいと思います。