今回は、健育会グループ西伊豆健育会病院の鶴山医師の監修のもと、教材を作成しました。
患者にとってその人の人生が豊かとなるように最善の方針を見出すのが医師の役割です。そのために、まず、病気という悪い知らせを患者だけでなく家族にも配慮して正しく伝えることが大事です。伝え方によって、受け止める方の印象はかなり変わってきてしまいます。では、一体どのように患者に悪い知らせを伝えるのか。本教材では、悪い知らせを伝える方法として、SPIKES(スパイクス)モデル【Setting(セッティング)、Perception(相手の理解)、Invitation(前置き)、Knowledge(病状の説明)、Empathy(共感)、Strategy/Summary(今後のプラン/話のまとめ)】を紹介しております。
病気という悪い知らせを伝えたあとの病気に対する方針について、例えば手術を望まない患者本人と手術を望む家族といったように、意見が食い違うことはしばしばみられます。そういった状況の中、医師は患者にとってどのように最善の方針を見出すのか。
まず、最善の方針とは、医学的観点から妥当な選択であること、かつ、患者・家族の意向が考慮されていることです。患者本人と家族で意見が食い違うと言った方針決定が困難な場合は、手法として本教材では、4分割法【医学的要素、患者要素、QOL要素、周囲の状況・環境要素】を紹介しております。ただし、4分割法は意思決定に必要な要素をもれなくあげる手法で、意思決定で最も重要なのは患者の価値観です。そのためには、医師は患者との対話を繰り返し行うことが必要となります。
今回は、実際にあった西伊豆健育会病院での症例も交えて、分かりやすく解説しております。
健育会グループでは医師の役割を「医の倫理の番人」としています。生命倫理学の提唱者ヴァン・R・ポッター氏は、医の倫理とは「自分のスキルをどのように使うかという知識のこと」と説いています。
この教材を視聴して医師がその知識について再度考えるきっかけになる事を期待しています。