今日は、みなさんに理解してもらいたいことが3つあります。「グループのMVVと病院理念を理解する」「自分自身の役割を理解してそれを全うする」、「質の高いサービスをチームで提供する」という3つです。
そもそも企業には、ミッションが必要不可欠です。健育会グループのミッションは、「光り輝く民間病院グループ」。これは私が理事長職に就任した30年前に生まれたものです。
先代の理事長は、竹川病院と熱川病院という2つ病院の経営を全て自分で行っていました。その姿を見て、医療と経営を1人で両立することの難しさを目の当たりにします。私自身は大学病院で8年間医師として臨床と研究を行なってきましたが、理事長になるにあたり、改めて民間病院の使命を考えました。
当時、医療は人の命を扱う特殊なものだからと公立病院は赤字経営が常識で、その赤字は国が賄っていました。一方の民間病院は、レベルが低く儲け主義だから黒字経営ができるという認識が浸透していました。しかし、国の財政がいずれ逼迫していくことを知った私は、近いうちに日本の医療が立ち行かなくなり、公立病院は縮小され、病院数は減少して医療崩壊が起こるだろうと予測したのです。
そこで、我々民間病院こそが、健全な経営のもとで質の高い医療を提供し、永続的に日本の医療を支えていくパイオニアになる、つまり「光り輝く民間病院グループ」を目指すことが健育会の使命だと考えました。そして経営に特化したヘルスケアシステムズという会社を創立し、経営を仕組み化することに力を注いでまいりました。
今年、岸田総理は年頭記者会見で少子化対策の強化を発表しましたが、これに伴って今後高齢者の診療報酬が減額されていくことでしょう。しかし私は、これまで日本を支えてきた高齢者を悲惨な目にあわせるつもりはありません。今こそ我々民間病院がチャレンジ精神と効率性を持って、高齢者の医療や福祉を支えていくことがミッションだと思っています。
まずは、こうした健育会グループのミッション=目指す方向性をしっかり理解し、さらにそれぞれ特性のある病院ごとの理念も覚えてください。その上で、10年後の自分が働く病院の姿を思い描けるようにしておくことが効率的な運営につながります。
昔、公立病院に勤務する知人の医師が、いくら長時間勤務しても病院は一向に赤字経営から抜け出せずに困っていると話していました。これは職員一人一人がバラバラで、目指す場所を共有できていないから。全員でミッションを共有し、1つの目標に向かって「one team」で働くこと。これこそが病院経営の基本です。そうすれば少ない予算でも、質の高い医療を提供できると信じています。