健育会グループの使命は「光り輝く民間病院グループ」を目指すことであり、国の財政状況が変化して補助金が減っても、確固たる経営基盤で日本の医療を支えていくことを目指してきました。そして昨年70周年を迎えて、もう1つ「愛情を持って親身な対応をする」というミッションを加えました。
それは既にお話ししてきたように、ダウン症候群の子供を持った親子と出会ったことと、同じ夜に、たまたまテレビで自閉症の子供を持ったイギリスのアーティストを見たことで、愛情は本当に人間の治癒力を伸ばすと実感したからです。
医学部では、科学者である医師は患者さんを物体として見なければ病気を見逃すと教えられます。その意味で科学者として診断、治療に向き合うことは必要ですが、患者さんの治癒力を増やすためには、医師の皆さんにも「愛情を持って親身な対応をする」ことをお願いしたいと思います。
健育会の使命である確固たる経営基盤についてお話ししましたが、今後は経営スタイルが変わっていきます。少子高齢化によって労働力が減少するためです。少ない労働力でパフォーマンスを出すためには、医療DXの活用が欠かせません。これは全ての業界に言えることですが、特に医療介護業界は顕著に変わっていくことでしょう。
現在、健育会グループは日本一のAIの研究室と契約を結び、医療介護におけるAIソリューションの開発に着手しました。これにより少ない人数で高いパフォーマンスが出せるようになり、働く人たちも楽になることが狙いです。
麻生飯塚病院では、非常にDXが進んでおり、看護師は1000ベッドある病床全てをiPad1つで管理し、ナースステーションは機能する必要がないそうです。健育会グループでも、そうした医療DXの開発が必要不可欠であり、従来までの「人がいないと、いいことができない」という考え方から、「いかに効率的に高いポテンシャルを出すか」を目指してきたいと考えています。
その中で医師の皆さんにお願いしたいのが、粗利経営です。医師にとっての粗利経営とは、余分な薬は使わず、必要な薬を必要なだけ使うことです。患者さんの状況と今までのデータから、自分できちんと診断を下し、必要な検査のみ検査をして、必要な薬を必要なだけ出す。これが名医です。ぜひ皆さんも名医になってください。それが効率的な経営にも結びつきます。