最新レポート
前半の演題発表後、田中院長より講評をいただきました。
演題についてコメントさせていただきます。
大崎ひまわり訪問看護ステーション:転倒はインシデントの中でも非常に多く、これを防ぐ活動は非常に大切なテーマだと思います。特に病院内での転倒の対策は立てやすいのですが、外出や施設から自宅に帰った時の転倒というのは、これを防ぐというのはとても難しいことです。家屋評価など、ご自宅の危険な箇所のチェックは当然しますが、それでも認知症のある患者さんでは起きてしまうと思います。私の病院でも昨年、外泊中に自宅で転倒された症例がありました。少しでも防ぐために住宅チェック/転倒防止用具の紹介など対策をするとともに、今後も活動を進めてもらいたいと思います。とても良い発表だったと思います。
ねりま健育会病院:この演題も転倒転落がテーマでした。特にスタッフ同士の情報共有がとても大事であって、これができていないと患者さんのアセスメントが不足するということでした。的確なアセスメント評価/環境整備は当たり前のことだと思いますが、なかなか出来ていないのが現実だと思います。私の病院でも、患者さん事由以外の転倒はできるだけ無くすための取り組みを行っています。今回のご発表では「教育が大事」とのことでしたので、ぜひ参考にさせて頂きたいと思います。
熱川温泉病院:身体抑制ゼロは非常に大事なテーマです。職員への意識付けや独自の対策は必要だと思います。今回の活動は、職員に抑制を体験させるというユニークな方法を取られていました。患者さんの気持ちを理解するという意味では、とても大事な方法だと思います。体験をしてみると辛いことがわかると思いますので、患者さんの気持ちに沿うことができるのではないかと思います。
ケアセンターけやき:院内感染は一度ブレイクしてしまうと対策が大変です。費用の面でも膨大にかかってしまいます。そのためにも、普段から「大きな感染を起こさない」「防ぐ」という対策は非常に大事で、その中でも手洗いというのは感染を防ぐために基本中の基本だと思います。そういう意味でこのテーマは当たり前だったと思いますけれども、それをテーマにするということはとても勇気にいることだったと思います。この活動で施設の方は本当に手洗いの重要性を再認識されたと思います。ぜひ、これをきっちり行って大きな感染を防いでください。
ナースイン花ぴりか:組織内で地域包括ターミナルケアチームを作るというご活動でした。組織内である程度完結できていて、うまくいっていると感じました。しかし、都会だと一つの組織でチームを作ることができないことが多く、様々な組織との連携の中で実現しようとしています。どちらにおいても顔の見える連携が大事ではないかと思います。
ケアポート板橋:持ち上げ介助回数の低減の取り組みでした。患者さんの体位交換で、体力を使うというのは大変なことだと私も感じています。この動作を減らしたり、軽くしたりするのはとても大事だと思いました。今回、スライディングシートを使うという非常に大事なアイディアでした。スタッフの体力を大事にするという意味でも大切なことなので、ぜひ、他の施設や病院でも導入することをお勧めしたいと思います。
いわき湯本病院:リハビリテーションによって可能になってきているADLが病棟生活に移行できていないことに関する演題でした。リハビリとナースだったり、訓練しているところと病棟生活をしているところでは、乖離してしまうケースがあります。しかし、一致しないというのは良くないことです。そのためにはカンファレンスと密なコミュニケーションがもちろん大切です。これはチーム医療の典型だと思いますので、ぜひ継続してやってもらいたいと思います。
ライフケアガーデン湘南:患者さんの食べ物の満足度は大切です。私の病院でも身にしみて感じています。満足のいく食事の提供はもちろん大切なのですが、やはり栄養やカロリーを考えると必ずしも美味しいだけではダメで、食形態の問題もあってなかなか満足度を得るのが難しく、全員にご満足いただく食事の提供は至難の技だと思います。そのような中で選択食は患者さんの好み優先ですので、満足度が上がると思います。栄養科のスタッフの仕事が増えるので、簡単にはいかないかもしれませんが、ぜひサービスの一環として取り入れていけたらと思います。
茅ヶ崎セントラルクリニック:透析をしている腎臓の悪い患者さんへの食事提供というのは難しいと思います。美味しい食事を作るのは至難の技で、ましてそれを患者さんやご家族に作ってもらうのは難しいことです。栄養指導というのは栄養士さんの熱意と努力が必要だと思います。患者さんを説得し、ましてや美味しいと感じさせてしまうのは栄養科の努力の賜物だと思います。感動しました。
以上、短い時間ででしたが、ご協力ありがとうございました。