最新レポート
今年の研修会では、健育会グループ 副理事長の岩尾 總一郎先生の座長のもと、箕岡医院 院長 箕岡真子先生に『「終末期医療の倫理」の基礎と「DNARの倫理」~アドバンスケアプランニングの重要性~』という演題で、ご講演を賜りました
講演の内容
- 終末期医療における意思決定プロセスにについては、(1)医学的視点(2)倫理的視点【本人意識・家族の医師(代理判断)・手続き的公正性】(3)法的視点から考察、の3つの視点の考察が必要である。
- 終末期医療に関する倫理諸問題は、今後、これらの問題を社会全体【患者・家族】【医療】【介護】で対話を深め、事前に考えておくこと(ACP:アドバンスケアプランニング)によって、解決をすることができる可能性がある。
- 具体的には、【患者】サイドでは事前指示の普及、【医療】サイドではDNAR指示※1(POLST※2)を適切に作成すること、【介護】の領域では「看取りの意思確認書」を倫理的に適切な手続きで作成することである。
- ACPは、【患者】にとっては「自己決定の権利の尊重」、【家族】にとっては「心理的苦悩・感情的苦痛の軽減」、【医療介護従事者】にとっては「法的責任の回避」につながる。また、ACPは【患者】【家族】【医療介護従事者】が予想される未来について、あらかじめ話し合いをするプロセス全体であり、患者とコミュニケーションをとり、患者の価値観を共有することに意義がある。
- 【患者】にとって代理判断者の指名は重要である。【患者】と【家族】は、利益相反する可能性もある。「患者が望むであろうこと」に可能な限り近づけるように話し合っていくことが大切である。
- ※1DNAR
- :Do Not Attempt Resuscitation 心停止ないし呼吸停止した際に心肺蘇生を試みない指示
- ※2POLST
- :Physician Orders for Life Sustaining Treatment
「生命を脅かす疾患」に直面している患者の医療処置(蘇生処置を含む)に関する医師による指示