湘南慶育病院は、日本では初めての大学と密に連携している民間病院です。大学病院では勉強することが難しい慢性期医療を学ぶ研修の場として医学生や若いドクターに活用してもらい、その学びをこれからの医療に生かしてもらいたいというのが、私の夢でもあります。
医学教育の場でも、いわゆる僻地医療などを学ぶカリキュラムは組まれていますが、開業医のクリニックを見学したり、リハビリテーション病院の現場を見学したりすることで済まされているのが現状です。湘南慶育病院のような療養、回復期リハビリテーション病棟で1週間なり2週間なり勉強していただくと、「人間の尊厳とは何か」「人間の死とは何か」を深く考えるいい場になるのではないかと私も感じています。
先日、先生が中心となって湘南慶育病院の理念を制定されました。
職員への浸透を図るために、どのようなことを行っていますか?
病院内で理念プロジェクトを立ち上げ、6回の会議を重ねて練り上げた理念を理事長にお認めいただいて1ヶ月経ちました。理念の中で、『皆さまの「その人らしい生き方」を尊重します。』と掲げましたが、具体的にどの病棟においても患者さんと同じ目線で医療を提供するということであるということを、私から職員全員に詳しく説明しております。
この病院は藤沢市の「健康と文化の森地区」の一つの拠点となっています。この地区には「文化」は慶應義塾大学がありますが、「健康」の拠点がなかったところにこの病院ができました。ですから「健康」の拠点となっていくことが、この病院の存在価値の一つでもあります。「健康」という切り口でこのエリアの中心的存在になるような、愛される存在にならなければならないと考えています。そこで病院とはいえ、病気の方だけではなく、健康な方にも集っていただけるような場所にしていきたい、ということが理念の背景にある想いです。今年の春に初めて健育祭を行いましたが、今後は地域の方とのコミュニケーションを「健康」というキーワードをベースにもっともっと密にしていきたいと考えています。
2018年9月27日 湘南慶育病院 理念について報告会の様子