Vol.191 湘南慶育病院が開院し、1年が経ちました。

遠隔診療については、2018年7月に神奈川県の黒岩祐治知事が来院された際に私も同席させてもらいましたが、その後は大学との連携は進んでいますか。

はい。当院でSFC研究所と連携して進めている「遠隔在宅医療Hospital in the homeの実証」については、7月に理事長にもご同席いただいた黒岩神奈川県知事の視察に加え、11月12日には藤沢市の鈴木恒夫市長も視察されました。ここ数年、厚生労働省においても遠隔診療には大変力を入れられています。私どもとしましても、遠隔在宅医療の実用化に向けて、まずこの藤沢市でモデルケースを作っていこうと考えていますが、そのためには行政のご協力も不可欠となってきます。実用化に向けのハードルはまだ高いと思いますが、ICT(情報通信技術)を活用した様々な新しい医療サービスの構築を当院としても積極的に進めていきたいと考えています。

2018年7月5日 神奈川県 黒岩 祐治 知事 来院

また慶應義塾大学SFC研究所のヘルスサイエンス・ラボと協力する共同研究が9月から始まりました。病院の一画をヘルスサイエンスラボ(湘南慶育病院連携ラボ)として提供しています。現在、当院眼科の久保田先生が主体となった白内障に関する臨床研修と、SFCの渡辺光博研究室が主体となった食事・運動・心をテーマとした基礎研究の大きく2つの研究が行われています。

病院の経営安定化に向けて、今後どのような施策をとっていかれますか。

まずは、地域の医療・介護に関連する方にこの病院の存在を知っていただき、「あそこの病院にはこういう先生がいるから頼りになる」と患者さんを送っていただけるような病院に成長していかなければならないと考えています。また、これまで以上に重症な患者さんを受け入れ、良くなって在宅復帰していただくというような医療・リハビリを施せるように努力していかなければならないと思います。

加えて医師会に所属できるように努力したいと思います。所属すると、救急搬送の輪番制度に組み込んでいただいたり、市の検診事業の斡旋を受けることができるなど、地域医療における役割も増えてきます。

その他、病院は若い先生がいると活気が出ますので、専門医を揃えて教育病院の資格を取り、若い研修医・専修医を集められるようにしていきたいと考えています。病院を活気づかせることも、経営の安定化に間接的に貢献するのではないかと考えています。また、事務系や看護・介護等においても、無駄と漏れのない保険診療ができるようにしていかなければならないと考えています。