Vol.235 【特別対談】慶應義塾大学・渡辺光博先生と描く遠藤エリアの未来像

対「個」はパターンではまかなえない
我々が研究を続ける意義とは…

渡辺:以前、私は学生やお医者さんたちの指導にあたっていましたが、そこでは専門分野に片寄っていました。臨床だけの学びが悪いとは言いませんが、それではAI(人工知能)に負けてしまう。例えば、血糖値の数値から薬を判断するだけでは十分ではありません。

医師が研究する意味は“考え方”。病気の裏にある病気を見つけ出し、一人ひとりに対処できる思考力が必要です。その際、データを見て考える研究は非常にいい判断材料になります。竹川先生が目指す“本当のプロフェッショナル”を生み出していきたいと考えています。

竹川:おっしゃるとおりですね。ともすれば、病院では患者さんを診る、介護施設では介護するという臨床がパターナリズムになってしまいます。しかし、私たちが接しているのは人間です。同じ病気、同じ年齢であっても、個々が持ちあわせる要素はそれぞれ違うはずですから、パターンの繰り返しでは十分とは言えません。「果たしてこれでいいのか」「患者さん、利用者に寄り添う対応策があるのではないか」と、違った角度から考えることが必要。毎日患者さんを診ているだけではつい忘れがちですから、研究によって脳を働せることに意味があるのです。

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