Vol.235 【特別対談】慶應義塾大学・渡辺光博先生と描く遠藤エリアの未来像

膨大なデータをもとに「湘南慶育病院発」の研究を

竹川:膨大な基礎・臨床研究がある中、課題もあります。データを解析して仮説を立証すること。
湘南慶育病院には常に230人の入院患者さんがいて、4年経った現在は膨大なデータが蓄積されています。その中でうまくいった/いかなかったケースに注目して統計的な解析をしていただきたい。学生さんにも病院のデータを活用し、臨床研究してほしいと思います。

渡辺:おかげさまで、近年は博士課程を取る学生も増えています。中には、公衆衛生分野において厚生省の治療指針に携わるほどの実力があり、専門としてアメリカに留学経験を持つ学生さんも在籍しています。実は、アメリカ留学中に、帰国後ここのラボで基礎研究を学びたいと相談を受けていました。博士を持っていても研究生であれば給料はありませんし、改めて研究室に入るメリットがあるかはわかりません。そのことを伝えたところ、「アメリカでは基礎も統計学も、どちらも理解している。一方、日本では統計解析ばかりで基礎ができていない人が多いように感じるが、それでは未来はない」と。改めて基礎・臨床をまんべんなく学ぶことの重要性、このラボの存在意義を感じました。

竹川:データはいくらでも提供します。健育会では「ミラクル賞」として医学の常識を超えて改善した例を評価しています。何百例もある中で、うまくいった例とそうでなかったものを比較分析するなど、研究の題材はたくさんあります。今後もより「湘南慶育病院発」の研究が出てくることを願います。

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