Vol.263 「愛情を持って親身な対応」のヒントになった、パッチ・アダムスのある信条

『光り輝く民間病院』の実現、それが私たちの目標です。医療崩壊に対する不安が高まるときこそ、
民間病院は光り輝く存在とならなければなりません。
今後病院の経営環境がどれほど厳しくなろうとも国民の皆さんが安心できる医療を提供するために
ありとあらゆる知恵を結集して病院を健全に運営することが、私たちの使命です。
 私たち健育会グループは、サービス業を超える医療、福祉の実現を目指しています。
医療や介護を担う者は利用者(クライアント)から信頼され、すべての方々の尊厳を平等に扱い、誰に対しても愛情を持って親身に対応する「クライアントの心が豊かになる病院、施設」それが私たちの目標『光り輝く民間病院』です。IT革命など社会情勢の変化により、物から気遣いや思いやりがより価値を持つ時代のなか、健育会グループは全職員が愛情を持って親身な対応をすることが病気の治癒力向上につながると確信しています。
「仕事のやりがい」、「一人ひとりの人生の夢」、「医療・福祉に携わる者の使命感」、この3つの
キーワードは健育会グループで働くすべての人々に対して私が掲げる運営理念です。
 病気を患ってしまった人、介護が必要となった人など、人生を築いていく上で医療や介護を求める人々は日ごとに増大しています。健育会グループは専門分野のそれぞれ異なるプロが互いに協力しあい、ワンチームでより多くの方々から信頼される素晴らしい医療・介護サービスの提供を実現するためにチャレンジしていきます。

新たに追加したのは、今年の健育会のキャッチフレーズでもある「愛情を持って親身な対応」という言葉です。これは何年も前に出版された「パッチ・アダムスと夢の病院」という本を読み、共感を覚えたことがヒントになりました。

ただし先に伝えておきたいのは、この本の全てに同感したわけではないということです。むしろ内容のほとんどに違和感を覚えました。なぜなら、ドクターアダムスは精神科の医師だからです。精神科の治療は他の科と少し違い、心と心のつながりを大切にし、科学者として“冷めた目”で患者さんを診てはいけないとされていて、この本にもそうした内容が書かれています。

しかし内科や外科の医師は、誤解を恐れずにいうと、逆に「科学者として患者さんを一つの生物として客観的に診る」ことが必要だと私は思っています。昔から、医師は自分の肉親を診てはいけないと言われていますが、それは客観性を失ってしまうため。感情的になって診断を誤ったり、薬の量を間違えたりといったミスを犯す可能性があるからです。

実際に私自身もそうした経験があるので、やはり肉親は診てはいけないし、科学者として患者さんを冷静な目で診なくてはいけないと思っています。しかしこの本を読み、やはりそれだけではなく、私たち医療人は愛情を持って親身に接するという気持ちも併せ持つべきだ、ということを改めて認識しました。