EPAの取り組みでは、竹川理事長が2004年の経済同友会で、外国人労働力の必要性を提言し、2007年にフィリピンの留学生を試験的に受け入れるところからスタートしました。現在は、協定国のフィリピン、インドネシア、ベトナムという全3カ国の候補生10名がケアポート板橋に在籍しています。3カ国が揃う介護福祉施設は珍しく、さらに介護福祉士資格取得後に帰国する候補生が全国的に多い中で、勤務平均年数は平均7年に及びます。制度開始の2008年にきたインドネシア介護福祉士はご家族も来日し、現在も頑張ってくれています。
こうした長期勤務の実現には、フォローアップ体制や教育体制が欠かせません。ケアポート板橋ではEPAチームを編成し、生活・仕事・勉強をサポートしています。異国の地で、日本の高齢者を支えてくれる仲間を職員が全力でサポートしていく意識、風土が根付いています。受け入れ当初は職員に対し、フィリピンやインドネシアの文化に関する研修会を実施。ラマダンなどイスラム教の風習についての周知を行い、外国人への理解を高め、共に働きやすい環境づくりを実施しましたが、現在はEPAの先輩達がその役割を担ってくれています。
こうした取り組みを職員一人一人に浸透させ、サービスの質の向上を実現するためには、業務改善を行なって自己の意見が反映される「風通しの良い施設風土」が必要不可欠です。そのために、誰もが日々の気づきや追加提案を施設に提案できる「名案プログラム」や、感謝を形にする「サンキューレター」、新人職員への教育システム「プリセプター制度」を採用しています。
また金銭的な報酬を得るためだけでなく、やりがいや夢を持ってもらうことも重要です。私自身、現場介護職から施設長を拝命頂いたため、職員の気持ちは十分理解できます。壁にぶつかり、挫けそうになることもあるでしょう。ただ、根本にある「介護はやりがいのある仕事」という想いは変わらないと信じています。だからこそ職員には介護でやりたいこと、自分の存在価値や新しい役割を見つけてもらうことを全力で応援しています。今後も職員のスキルや満足度を上げて、サービスの質を高め、地域の要となれる事業所を目指し続けていきたいと思います。
ケアポート板橋が最優良事業所として選ばれたことは率直に光栄に思います。今回の選出は、TQM活動やEPA、理念共有プロジェクトなど、健育会グループ全体で取り組んできたことが評価され、さらにそれらの取り組みがケアポート板橋にもきちんと浸透している証だと思っています。