私から理事長講話としてお話しした内容をご紹介します。
皆さんは、医療人として既に素晴らしい経験をお持ちですから、今日の研修では健育会グループがどういう組織であるか、そして健育会のミッション、ビジョン、バリューと病院理念が皆さんの仕事といかに関連しているかをもう一度再確認してほしいと思います。
30年前、私が健育会の理事長になるにあたり、今後人口が減少して衰退していく日本社会において、革新的な改革で社会に貢献していく組織が必要だと考えました。そのために、どんな価値を生み出せばいいのか?と考えて生まれたのが、「光り輝く民間病院グループ」という健育会のミッションです。
健育会のミッションを考えた25年前、当時の中曽根元総理は膨大な赤字を出していた旧日本国有鉄道に危機感を持ち、民営化を推進して現在のJRが生まれました。これが第一回目の民活です。一方日本は戦後復興で国の補助金を使い、国力を維持するために膨大な国債を増やしました。そこで小泉元総理はこのままでは日本経済が立ち行かなくなると考え、郵政民営化を敢行したのです。
そうした民間活力の動きの中で、政府の規制改革委員会が出した答申に「光り輝く日本」、「医療も規制改革して民営化すべき」という言葉が登場しました。
当時、医療は人の命を預かる仕事だから利益が出なくても仕方なしとされ、国公立病院は赤字続きでした。北海道の夕張市では、夕張市民病院の多額の負債で財政破綻まで起こりました。そこで私は、医療も効率化しなくてはならない、そのためには民営化するべきだと考えます。健育会はその先端を走る民間病院となり、黒字を出すだけでなく、効率的で素晴らしい医療を提供する。それこそが「光り輝く」ことだと考えたのです。まさにこれが我々の使命です。
2008年になると本当に医療崩壊が叫ばれはじめ、国公立病院の民営化は必要不可欠となり、これまでに全国で何十もの国公立病院が民営化されてきました。
では、民間と公立の違いとは何か? それは、素早い決断とチャレンジです。公の組織では、いまだに新しいことに対して「前例がない」「責任は誰が取るのか」ということが問題になります。民間はその逆を行かなくてはいけません。健育会では私が全ての責任を取り、素早い決断とチャレンジを可能にしています。