ここで大切になるのが、バリューです。「患者さん」に質の高い医療サービス、「ご家族」に安心、「地域」には貢献……と7つのクライアントが存在しますが、これら一つ一つをきちんと満足させることが病院理念の実現に欠かせません。
なかでも患者さんに対する「質の高い医療サービス」についての尺度は、医療人によって異なりますから規定が必要です。患者さんは一人一人バックグラウンドや人間性が違い、求めているものも人それぞれ。相手の求めていることを的確適切に提供できるチーム医療が確立され、チームのそれぞれが自分の役割を理解していることが大切です。
私が考える質の高い病院というのは、大学病院や先端医療を提供する病院ということではありません。そうした高機能病院にも、リハビリ病院にも、それぞれ質の高い病院とそうでない病院があります。必要なことは、チーム医療ができているかどうかです。
ですから自分の働く病院施設の進む方向をよく理解し、チーム医療を実現するためにチームワークを心掛けて情報を共有して欲しいのです。そして上司や病院から求められている自分の役割を全うしてください。皆さんの日々の仕事こそが、光り輝く民間病院を実現し、日本の医療を救うことにつながっていくのです。
また「サービス業としての医療」について、健育会が大切にしてきた「人間の尊厳を平等に扱う」ことの大切さについてもお話ししました。
最後に私から、皆さんに3つのことを約束します。忙しくてもやりがいを持てる職場環境を実現すること。発表会や研究会にたくさん参加していただき、医療人としての使命感を育ててもらうこと。私が全ての責任をとり、安心してチャレンジできる環境を作ること。この3つを必ず約束しますので、皆さん日々の業務に邁進し、やりがいを持ってさまざまなことにチャレンジしてください。