そこで、副交感神経の活性を高める施策をいくつかご紹介します。まずは深呼吸。口からゆっくり吐いて、鼻から大きく息を吸います。これを繰り返してください。深呼吸をして自分で横隔膜を動かすことで、随意神経の副交感神経が刺激されます。あとは、頭の付け根から首の付け根に走る胸鎖乳突筋のマッサージも有効です。
また、ツボ押しも効きます。医学的にも効果が認められており、循環器系の医師が耳の後ろなどを押して不整脈を治すこともあります。こういった施策を習慣にすることで、知らないうちにだんだんと自律神経のバランスが整うようになってきます。

また近年、セロトニンと密接に関係あるオキシトシンというホルモンが脚光を浴びています。オキシトシンが増えると、セロトニンが増えるということがわかってきたのです。では、オキシトシンはどうやったら増やせるのでしょうか。
まずは、愛情です。人に親切にする、人に安らぎを与えるときに出ることがわかっています。また人との交流も有効。相手と目線を合わせるのが長くなるほど、分泌が増えると言われています。
先ほど、うつ状態になったからといって安易にうつの薬を飲むのはお勧めできないという話をしました。しかし、カウンセリングで話を聞いてもらうのは有効です。人と目線を合わせて、長く話すことによってオキシトシンの分泌が活性化されます。いい精神科医は、すぐに薬を出さずによく話を聞くということを覚えておいてください。
そのほかにも、オキシトシン分泌には美しい景色を見るなど五感からの刺激や、スキンシップも有効です。時代的にハラスメントなどの問題があって難しいですが、精神の安定にはスキンシップやハグがとても重要なのです。

幸福感を得るためには、ノルアドレナリン・ドーパミン・セロトニンの３つのホルモンがバランスよく出ている状態が理想。ですから、自分で自律神経のバランスを整えることを意識することが重要になります。