Vol.289 自律神経と幸せホルモンについて、講演を行いました

我々の医療グループは、今年から「愛情を持った親身な対応」というキャッチフレーズを掲げました。我々医師は科学者であり、患者さんに感情を注いではいけないと習ってきました。感情を注ぐと冷静な治療ができないためです。
しかし去年、私は家の近くのお寿司屋さんでダウン症候群のお子さんとお父さんが、2人でいつもゴルフに行っていると楽しそうに話をしていたのを聞いて、ダウン症候群でも親からの愛情をたくさんもらって幸せに過ごしているのだと感動を覚えました。
さらに同じ日の夜、イギリスBBCの番組で、自閉症の子供を持つお父さんが、一生懸命子供に合う学校を探して通わせ、子供はハッピーな学校生活を送っているというのを見て、人間の生命力は愛情を注ぐと伸びることを実感したのです。

こうして病人を治すためには「愛情を持った親身な対応」が必要であると考え、キャッチフレーズを掲げました。科学者として冷静に病気を見ながら、一方で愛情を注ぐという正反対の目標に、初めは職員も戸惑ったようですが、ノルアドレナリン・ドーパミン・セロトニンという3つのホルモンが出るような接し方を勉強してもらったところ、大きな成果が出ました。

経営者の皆さんも、ぜひ人間愛を持って過ごしてみてください。人と接する時、叱る時も愛情を持って接すること。いいと思うことは口に出して、嫌なことは言葉にして吐き出す。そういうことが幸せホルモンを増やしてくれます。そして部下に対しても、幸せホルモンが出るような接し方を心がけてみてください。
経営者である皆さん自身がご機嫌にならなくては、部下はやる気が出ません。ご機嫌になるために、自分がご機嫌になろうという努力、気持ちが大切です。まずは自分が毎日「今日も自分はご機嫌だ」と思うこと。ご機嫌だと思うだけで、ご機嫌になれます。ぜひ、この話を聞いて、今日からご機嫌で生きようと思っていただければ幸いです。

また、10月4日には健育会グループの全病院・施設の職員に向け、同じく自律神経と幸せホルモンについて「職員の心が豊かでなければ患者さんに愛情を持った親身な対応はできない」という講演をリモート形式にて行いました。

フクビ会の講演では経営者の皆様に向けてのお話をしましたが、健育会グループで働く我々医療人も、患者さんに幸せホルモンを分泌してもらうためには、まず自分がご機嫌になることが大切です。自分がご機嫌になれば、誰に対しても愛情を持った対応ができるのですから、まずは自分がご機嫌になろうという努力、気持ちを大切にして日々の業務に邁進してください。