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【時代が変わっても変わらぬ看護実践の本質】講演要旨

お話しされる金井一薫先生
  •  また、統計学者としては、戦争そのものにより亡くなった人達より、 感染症や病気で亡くなった人達が多いことを、 帰国後にデータを整理し、どうしてあんなに沢山の人達が死んだのか元の根拠を示した。 つまり病院の不潔な環境が2次感染を起こしたのだという事を訴えた。ナイチンゲールは統計学的手法を持って根拠を明確にした、つまり今の日本ではエビデンス・ベースド・ナーシング、エビデンス・ベースド・プラクティス、の草分けである。
  •  ナイチンゲールの90歳の生涯の中で、ユニホームを着て臨床の現場にたったのはクリミア戦争に出てわずか3年。 戻って来てからはシンクタンクの様な所に閉じこもり、調査研究をしながら社会を改革していくメッセージを提供し続けた。
  • 研究会の様子 有名な看護覚え書きの「Notes on Nursing」の一節に「看護とは何か」が、人類史上初めて言葉になった。ナイチンゲールは、「看護とは一体何か」と考えた時に、体内で自然治癒力、回復のシステムを発動しやすいように、あるいは生態バランスが本来の姿に戻るように、患者自身と患者を取り巻く暮らしの条件や状況を最良の状況に整えることであると説いた。
  •  看護というのは、暮らしの条件を整えて、体の中に宿っている自然治癒力の発動を助けることなんだ。そして持てる力、プラスの力を発見してそれを延ばすようにケアプランを作りなさい。そんな風にメッセージを残している。
  •  英語では「comfort」、つまり「快」。「快になる状態を作って、それを提供すること」それが看護実践のもう一つの軸。患者さんにとってcomfortな状態を作り出したとしたら、ナイチンゲール看護論と一致してくる。
  • 研究会の様子 ナイチンゲールは「看護覚え書き」のなかで、「carefulな人がいい看護師です」「carelessでは悪い看護師です」と書いている。carefulな人、配慮が長けた人、そして気遣いができる人、これが求められる介護士・看護師思想である。実はこのテーマは接遇の条件になる。看護界・医療界にとっての接遇はcarefulな人のこと。

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