私自身もエム・イー振興協会から出版されている「最新」と「最先端」をキーワードとして医療情報システムの最新情報を紹介する医療専門誌「月刊 新医療 2018年7月号」において、「回復期リハビリテーション病院・介護老人保健施設を合築の臨床上・運用上のメリット ケーススタディ大泉学園複合施設」として、そのメリットの詳細を以下のように論文として報告しました。
要 約
回復期リハビリテーション病院・介護老人保健施設合築の臨床上・運用上のメリット
ケーススタディ 大泉学園複合施設
- 健育会グループとは
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- 健育会グループは、1953年に初代理事長 竹川 不二男が開設した竹川病院(東京都板橋区)からはじまり、今年で創立65周年を迎えるグループである。
- 初代理事長は、リハビリテーションという言葉がまだ一般化していない1965年に、今でいう急性期の治療を終えた方が元気な身体を取り戻すために、温泉を活用しながらより専門的で集中的なリハビリテーションが可能な病院を目指してグループで2つ目の病院となる熱川温泉病院(静岡県賀茂郡)を開院した。その精神を受け継ぎ、健育会グループではリハビリテーションに強みを持った病院・施設が多い。
- 2017年4月、東京都練馬区に開院した大泉学園複合施設 ねりま健育会病院/介護老人保健施設ライフサポートねりまもその一つである。健育会グループにとって病院と介護老人保健施設が建物を一つにする複合施設は初めての試みとなったが、開院後1年を迎え、その優位性が見えてきたため報告する。
- 複合施設の経緯
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- 2013年に練馬区として正式に「練馬区内に回復期リハビリテーションの病院、そして介護老人保健施設が少ないため、それらの運営実績のある健育会にぜひ整備を進めてもらえないか」というお声がけを頂いた。
- その後、建設にふさわしい土地を練馬区からご紹介いただき、協議を重ね、約1年の工期を経て、2017年4月に開院となった。
- 複合施設の特徴
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- 建物においては、奥行きが広い建物の構造(写真1)を生かし、歩くリハビリを行うための100m廊下(写真2)を配していることが特徴である。
- また建物の周辺とガーデンには365日いつもどこかに花が咲くように植栽に配慮する(写真3、4)など、建物全体で歩くリハビリを促すよう工夫を行っている。
- きめ細やかな医療管理のもと、脳画像を元に損傷された領域を把握し、障害を受けた機能と残存する機能を見出して患者さんの能力の限界までリハビリを行う「攻めのリハビリ」が、病院の特徴となっている。
- 老健においては、2018年度介護報酬改定における在宅「超強化型」を目指しており、在宅復帰のための老健であることを明確に打ち出している。