2019年6月15日(土)、「第14回 チーム医療症例検討会 in ねりま」が、練馬区立区民・産業プラザCoconeriホールで開催されました。今年の幹事を務めたのは、「攻めのリハビリ」を掲げるねりま健育会病院。令和初となるチーム医療症例検討会の当日はあいにくの雨模様でしたが、会場は練馬駅から徒歩1分と抜群のアクセスで、各病院・施設から約170人の職員が参加しました。
冒頭では私が、開会のあいさつとして、以下のような話をしました。
健育会のチーム医療症例検討会は、グループ内の学会の中で最も長い歴史があります。来年の15回を終えた後は、第1回からの全ての症例を1冊の本にまとめて、皆さんに配ります。それを基に、皆さんでノウハウを共有し、蓄積して、勉強してもらいたいと思っています。本日はまず教育講演として、沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科の高山義浩先生に「地域包括ケアにおける感染症とチーム形成 治療からの撤退も含めて」というテーマで、お話いただきます。感染症という視点から、在宅ケアに関するお話を特に治療からの撤退も含めてというのは、非常に重い言葉です。私は、この言葉に大変興味を持っており、ぜひ先生のお話を聞いて、勉強させていただきたいと思います。
講演の後は、介護10題、病院8題の症例発表があります。今年から全ての発表で、映像が入るようになりました。今まではただ話を聞いているだけだったのでイメージをつかみにくいところがありましたが、今年は改善状況などが一目でわかるような発表になるはずです。前半に発表する介護10題は、全て「キラキラ介護賞」を受賞しています。介護施設は、治療が一段落した高齢者の方が入所するところです。そこでの目的は、治すことではなく、その人らしく1日を生きていただくこと。入所者の方の目がキラキラと輝いた一瞬があったかどうかが、キラキラ介護賞の選定基準になっています。
後半の病院8題は、「ミラクル賞」を受賞した症例です。病院の目的は、患者さんを治し、歩いて退院していただくことです。これは、急性期や慢性期、リハビリを問わず、どの病院も同じだと思います。ひどい状態で入院した患者さんが、治療を終えて自分の足で歩いて退院したという、現在の医学の常識を越えたミラクルな症例が、ミラクル賞として表彰されています。この賞を作ったきっかけは、今から30年ほど昔にさかのぼります。産後にDICを起こした若い女性が、竹川病院に運ばれてきました。意識が無く、四肢の硬直が激しい状態でした。我々は諦めること無く治療とリハビリに力を注いだ結果、その女性は笑顔で歩いて退院されました。私は、それを見て人間の生命力は無限であり、それを引き出して助けるのが医療人の役割だと感じました。そしてその時の経験が、ミラクル賞の創設につながりました。本日発表される症例からノウハウを皆さんで共有して、もっと多くの人たちが元気になるように頑張っていただきたいと思います。