Vol.292 『第17回チーム医療症例検討会in東京』を開催しました

特別講演では、イムス富士見総合病院の特任副院長で、脳血管内治療科の主任部長を務める石原正一郎先生にご登壇いただき、「脳卒中診療の現状と目指したいチーム医療」についてお話しいただきました。

埼玉県は人口が多いにも関わらず、医療のインフラが全国で最も不足している場所です。縁あって防衛医大での勤務をきっかけにそうした状況を知ることとなり、それ以来埼玉の医療に携わってきました。脳卒中の治療では頭をできるだけ壊さない、低侵襲な治療を目指しています。その中でも特に予後の悪い心原性脳塞栓症の治療では、地域のチーム力が問われます。発症予防、再発防止のため、脳外科と循環器、リハビリ科との連携が必要です。
私が手がけた埼玉石心会病院ハイブリット手術室では、CT、血管造影、カテーテル、開頭手術という4Cを一箇所で行うことが可能です。血管内治療と開頭手術を世界で初めて同時手術を行い、パリのルーブル美術館で行われた学会で同時中継されました。
アメリカでは医療はビジネスですが、日本はサービス業です。患者の疑問や不安にいかに応えられるかが大切です。患者が求めているのは安心感とプロの仕事です。そして患者は職員から元気をもらっていますから、職員が元気である必要があります。だからこそ職員にとって働きやすい、心が和む病院を目指すべきだと思っています。埼玉石心会病院では、院内に職員が短時間でもリラックスできるカフェテリアを作り、毎朝パンを焼いて夜勤明けや仕事終わりに買えるようにするなど、工夫を心がけています。これからも、脳外科医としてできるだけ頭を壊さずに、いい治療をしていきたいと思っています。

後半は、竹川病院の原田俊一院長が座長を務めました。
病院部門の9チームから、親身な対応で重度の病状から大幅な回復を遂げた希少な症例が発表されました。