今日の目的は、みなさんがどんな組織に就職したのかを理解してもらうこと、そして最高経営責任者の理事長である私の話を直接聞いて頂くという2つです。まずは社会人としての心構えをお話しします。
1つ目は、社会人としての責任。皆さんは今まで親や学校の責任のもとで守られてきましたが、社会人になったこれからは1人1人の責任が追及されるようになります。とくに人の命を扱う医療介護職は、1つ間違えれば患者さんやご利用者さんの命を失う事例に発展することもあり、「うっかりしてました」では許されない職場だということを自覚してください。
とはいえ皆さんは新人であり自分で責任は取れませんから、わからないことがあればまず上司に相談してください。患者さんやご利用者さんは、同じ白衣を着ている職員の誰が新人で誰がベテランかは全く見分けがつきませんから、皆さんにも色々なことを聞いてきます。そこで自分が責任を持って答えられることは答えて、そうではない時は必ず上司に確認してください。
患者さんが焦っているからといって絶対に生半可な返事、その場限りのいい加減な返事で逃げることはしないでください。それが後で大変な問題になります。患者さんに怒られても「上司に聞いて参ります」ということ。日頃から聞きやすい先輩を決めておくといいでしょう。今日から半年間、患者さんやご利用者さんに怒られても、耐え難きを耐え、忍び難きを忍ぶ姿勢で頑張ってください。それが皆さんの成長と組織の安定につながります。
2つ目はチームワーク。我々は、職場では「we are one team」、グループ全体では「our team」という標語を掲げています。私は、質の高い病院や施設とは「チームワークがとれている組織」だと考えています。スタッフ全員が患者さん、ご利用者さんの情報を共有し、自らがやるべきことをしっかりとやる病院組織です。
今後、防衛費や少子化対策の強化によって医療費、介護費はどんどん抑制され、医療介護業界は受難の時を迎えます。その中で健育会グループは全員一致型の経営をしているところです。私が医者になった頃は、医師は経営なんてわからないし、ただ目の前の患者さんに良い医療を提供すればいいという考え方でした。しかし現在、そうした考えでは今日を乗り越えることができても明日には病院が潰れます。ですから職員全員が経営、運営に参加する自覚が必要です。それがour team型の経営です。
健育会グループは、年度ごとに各病院施設で予算を組んでいますが、昨年から安全、経営、親身な対応という3つの柱のもと、全員が経営に参加する形で予算を設定しました。チームワークを大切にして、病院全体の運営に自分が1つの力になるんだという意気込みで仕事をしてほしいと思います。