Vol.303 2024年度新入職員研修を開催しました。

皆さん、こんにちは。プロバスケットボールチーム「レバンガ北海道」の折茂です。本日は「プロ選手の価値とは何か?」というお話をしたいと思います。その前に僕のことを知らない人も多いと思いますので自己紹介をします。
我々は北海道の花川病院にスポンサーをして頂いています。「レバンガ北海道」は、前チームが経営不振によって3年で潰れたため、僕が2011年に選手を兼任しながら代表として立ち上げたクラブです。その時にたまたまNHKで僕の特集が放映され、それを見た竹川理事長からお電話を頂いて、スポンサードが決まりました。それから13年サポートを続けて頂いています。
当時バスケットボールはまだアマチュアの時代で、スポンサードがなかなか見つからず、理事長にお声がけいただいた時のスポンサーはわずか3社、従業員は3名でした。13年経った現在はスポンサード400社以上、従業員数40名となりました。初期から支えて頂いている竹川理事長は、チームにとっても僕にとっても恩人です。

僕は27年間プロ選手として現役を続け、ちょうど4年前のコロナの時期に49歳で現役を引退しました。野球、サッカー、バスケットボール全て同じですが、プロ選手はまず結果を出さなければクビになります。次の年はありません。プロ選手の付加価値とは、人が求める数、人が喜んでくれる数です。
今回、NBAで6年間プレイした渡邊雄太選手が日本に戻ってきてBリーグに参加するということで20クラブ以上が彼にオファーをかけ、争奪戦になっています。もちろん「レバンガ北海道」もオファーをかけました。彼を獲得する最低金額は3億円と言われていますが、これほどの大金を払う理由はなんでしょうか。1つは、NBAという世界最高峰で戦ってきた選手であり、実力は折紙つきということ。もう1つは、みんなが彼を見たいということ。彼を求めて会場にたくさんの人が来て喜んでくれるのです。この数が多ければ多いほど、プロ選手として価値があるのです。
皆さんもこれから働いて対価をもらいます。お金をもらうわけですから、業種は違うけれど同じプロです。だから結果を出して、患者さんに求められ、喜んでもらえるようにならなければなりません。それを意識して、仕事をすることが大切だと思います。

僕は27年間、日本代表に入って3回日本一にもなりましたが、特別なことはまるっきりしていません。色々なアスリートの方々にも、何か特別なことをやった方がいいのかを聞いたり、自分でも色々と考えました。結果わかったことは「当たり前のことを当たり前にできる人間が1番強い」ということ。これができなければ、特別なことをやろうと思ってもできるわけがないのです。当たり前のように努力をして、当たり前のように頑張って、当たり前のように感謝する。そのことはスポーツ選手も、社会人も一緒だとは僕は思っています。

そして自分を一番成長させてくれたのは、挫折、失敗、敗北です。アスリート、特にプロのスポーツ選手はここと向き合う時間が圧倒的に長いです。プロ選手でも勝ち続けることは不可能であり、挫折や失敗をします。僕も27年間で 3回しか日本一なっていません。24回はボロ負けです。つまり苦しいことや辛いこと、うまくいかないことがほとんどなのです。これから皆さんも仕事をしていく上で挫折や失敗に必ずぶち当たると思います。でもそれは当たり前のことです。そこから逃げるか、向き合うかは自分次第です。僕は逃げなかったから、多くのことを学んで成長できたと思います。
思い返してみると若い頃の自分は、日本一になって何か素晴らしいことを得られるんじゃないかと思っていました。しかし実際になってみると大したことはありませんでした。喜びと充実感、達成感を感じても一週間ぐらいで忘れてしまう。でもファイナルで負けたら、「なぜ勝てなかったんだ?」「何が足りないのか?」と考えるきっかけになるのです。挫折や失敗は悪いことではないと思います。