Vol.320 メディカルディレクター会議が行われました。

若い頃、厚労省のある局長から医師免許という国家資格についてこんな話を伺いました。
「医療行為とはなにか。それは傷害罪である。なぜならば薬という毒を盛り、メスを入れて傷をつけているからだ。しかしそれは人の命を助けるという目的があるから許されている。国が下したライセンスを持っているからこそ、傷害罪に問われないだけである。自分たちは常に、傷害罪に問われるかもしれない立場にいるということを意識するべきだ。その為には誠意を持って、誰からも指をさされないよう、誇りを持って行動していくことが大切だ」
これこそ医療の哲学に結びつく考えだと思います。この気持ちをどんどん磨くような教育を導入してほしいです。

「人間の尊厳は平等である」に関しては、終末期の患者さんへの対応を例に上げましょう。
家族と相談し、自分たちの病院で看取る選択をした患者さんに対して、自分たちの病院でできることを最後まで全力で取り組む。苦痛の軽減を考慮しながら患者さんたちに一日でも長く生きてもらう。そう接していけばきっと「今日は調子がいいよ」と患者さんから笑顔が溢れたり「おじいちゃんいい顔してる」と家族が喜ぶ、といった充足が一瞬でも生まれてくるはずです。
全力を尽くしてもらえた本人は、きっと幸せに旅立つことができるはずです。
家族も、患者さんとの触れ合いを間近で見ているからこそ「最後まで見放されることなく看取ってもらえた」という気持ちが芽生えます。
こういった対応が「人の命は何よりも尊い」ということです。

今年一年かけて、健育会グループはOur Team経営と共に「健育会グループの伝統に基づいた文化」を作っていきます。
私の命がある限り、この理念を掲げ続けていきたいと思っています。

私の講評の後に、新しくグループの理事に就任していただいた健育会理事の北川雄光先生(慶應義塾 常任理事)と、常磐会理事の伊藤貞嘉先生(東北大学 名誉教授)からそれぞれ本日の講評をお話頂きました。