最新レポート
グループA
- 患者プロフィール
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年齢:80代
疾病:直腸がん、再発
入院目的:療養病床で看取る
- 経過
- 入院時の病状説明において、家族は「延命は望まないが、本人の意識があるうちは全ておこなってほしい」との希望。その後下血があり、主治医から輸血を試みても状況は変わらないであろうとの説明がされる。家族は、できることはおこなってほしいと、転院を希望。その後、転院先で9日後に死亡。
- ディスカッションポイント
- 家族がなぜ転院を希望したか?
医師のディスカッション内容
- 下血を起こすのは予測の範疇内なので、その時に「どのような対応ができるか」「どのような部分で患者さんは辛い思いをされるか」とういうことを、実際に下血が起こる前にご家族にお話しすべきであった。
- 「本人の意識があるうち」という状態の、主治医とご家族の認識の違いがあるのではないか。そのような認識のズレをディスカッション等で合わせていくことも重要だと思う。
- 特にこういった方への輸血は、私たちも悩ましい時がある。ただ、輸血自体がご本人の症状の緩和につながる可能性もあるので、輸血を緩和療法の一つとしてとらえつつ、ご家族と一緒に相談を重ねていくべきではないかと考えた。
グループB
- 患者プロフィール
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年齢:80代
疾病:大腿骨頸部骨折、認知症
入院目的:骨折による術後の機能回復のため、回復期病棟に転入、
もとの住まい(サービス付き高齢者住宅・妻も在住・認知症)に戻る
- 経過
- 骨折前は野外歩行ができ、日常生活ではごく軽度の介助が必要な状況であった。当院にて術後の機能回復を目指している中で転倒し、大腿骨頸部骨折。疼痛が出現。痰の喀出が困難となり始める。リハビリへの意欲も消失。この頃より食事量が減り、補液・経管栄養で改善を図る中、肺炎を発症。自宅には戻れないこともある旨、療養病床で看取ることが主治医から提案されていたが、家族(遠い親戚)は「何もしないわけにはいかない」と人工呼吸器などの延命を希望。その後、さらに状態が悪化したため転院を希望。転院先で28日後に死亡。
- ディスカッションポイント
- 家族はなぜ、主治医の提案を受け入れなかったのか。
医師のディスカッション内容
- 担当した医師が状況を把握していないがゆえに、患者さん家族に正しい情報を伝えられなかったのでは、という可能性が話された。
- 「何が患者さんにとっての幸せか」というと、医学的に正しいと考えられていることが、必ずしも患者さんの幸せにつながるわけではない。そのことを医師側も理解し、説明できるようにしなければならない。