Vol.212 「第14回TQM活動発表セミナー」が開催されました。

後半最後の演題の発表後も、座長の小山内リハビリテーション部長から、各演題について講評がありました。
内容は、下記の通りです。

私は、専門がリハビリテーションスタッフのため、その視点から講評も多いということをご了承ください。リハビリテーション部に関しては、目標設定をしっかりとするということを重視します。そのため、やはりTQM活動に関しても、現状把握から要因分析をいかにしっかりやっているか、特に時間や費用など数字で出せるところは、しっかり出していただきたいという希望も含めて、講評を述べます。

演題11は、現状把握から対策にかけて、夜間の尿量測定に関する検討はとても素晴らしいと思います。これからもこの取り組みを続けてほしいです。また、オムツ交換という動作のため、当然行っている方々の体には負担がかかります。疲労・腰痛を緩和という波及効果も素晴らしいのですが、これに関してはもう少し掘り下げていただくと、もっと良い発表になったのではないかと思います。テーマ名に超強化型という言葉が入っています。高い在宅復帰率を含めて色々とハードルがある中で超強化型を使っていると思うので、そこでのオムツ交換の立ち位置や在宅に復帰された方のオムツはどうするのかといったことを、リハビリの視点も交えていただくと更に良いのではないでしょうか。

演題12は、特にエリア別だと明確でターゲットを絞り易く、こうした現状把握は素晴らしいと思います。LINE WORKSというICT活用に関しては、できればもう少し詳しい説明をしていただくと助かります。少し残念だったのが、他にも色々なアプリやサービスがある中で、なぜそれを選んだのかという理由がなかったことです。それを明確にしつつ、必要に応じて時間や金銭面での費用対効果も入れる更に良いのではないかと感じました。

演題13は、作業療法士さんらしい発表で、非常に勉強になりました。新しい病院ならでは問題が明確になったのではないかと思いつつ、多職種の違いにおける信念対立に取り組んだというとことは、画期的で面白い発表でした。今後も、継続していただきたいと思いますが、信念対立にもメリット、デメリットがあると思います。私が若い頃は、とにかくナースは怖かったという認識しかありません。病棟に行っては怒られました。信念対立というのは当然起こりえるので、それをどう活用するのかといった点に関しても今後取り組んでいただくと、非常に参考になります。

演題14は、ゴミの分別という職場環境に直結するというテーマで、それを選んだだけですごいと思います。アンケートとテストを実施しており、現状把握と効果確認に関してしっかり比較いるところが、とても参考になると思います。ただ、マニュアル化やシステム化する中で、看護部はあの形できれいになると思いますが、リハ室など他部署以外ではどうかといった波及効果を見てみると、院内がもっときれいになると思います。

演題15は、初めてのTQM活動ということでありがとうございました。事務部門が、現場の間接業務まで考えてくれるということは、大変ありがたいテーマだと思います。波及効果で、一部の期間に余裕ができて生活リハビリの時間が増えたということは、素晴らしいと感心しました。ただ、今回の活動に関しては、ターゲットを療養と事務の2つの間接業務にしたせいで、多少薄くなったという印象があります。1つに特化すれば、もっと時間を短縮できることがあったかもしれないという気がします。ワイズマンの費用が気になりましたが、システムを導入した以上はしっかり結果を出していただきたいと思います。

演題16は、食環境の改善ということでした。病棟の転換はなかなか大事業で、それに合わせて全病棟のシステムを全交換というイメージだったので、本当に大変だったと感じています。特に効果の検証では、他部門や実際に患者さんの意見を聞いたことが本当に素晴らしいです。今後何か新しいものを導入するときに、そうしたところはうちの施設でも、しっかりと考えながらやっていきたいと感じています。ただ、他の施設に滑らないトレーがあったということで、先に滑らないトレーありきという印象を受けました。滑らないトレーと滑るトレーがあり、それが必要な患者さんや利用者さんがどれだけいて、滑らないためには何が必要なのかといったことなども検証した結果、滑らないトレーを選択したということになった方が本来は良かったのかなと思います。

演題17は、個人情報漏洩に関するテーマでした。訪問も同様ですが、通所事業所では個人情報漏洩に関して、今かなり厳しく見られています。行政から指摘されることもあるので、非常に良いテーマです。今後も、少しずつこうした取り組みを続けていただきたいと思います。アンケートを3回実施して、効果確認の流れも良かったです。ただ、施設経由の連絡で利用者さんは困っていないのか、微妙な遅れがどこかで不備になっていなのか気になります。できれば、施設側で携帯電話を導入すると1台いくら、10台だといくらで、リハで頑張れば何カ月回収できるので買ってほしいと言えるくらい頑張って欲しいと思います。

演題18は、医事課が考える中心となる2つのターゲットに関連したテーマでした。要因解析と重要要因の検証、実施についてしっかり考えられていたと思います。中間確認と追加対策の結果、目標達成となり、流れも非常に素晴らしいと感じています。ただ、コピー機やパーテーションなど費用はいくらかかったのでしょうか。事務の負担が減った分、残業も減ったのでしょうか。医事課だからこそ、費用と時間の関係を明確に出した方が良かったと感じています。

演題19は、しっかりと目標を達成され、売り上げも満足度も向上して大変素晴らしいと思います。何より、利用者さんの休みの日に関してマニュアル化し、しっかりと対策が練られているとことが良かったです。ただ、ターゲットにしているのは、利用者さんや利用者さんのご家族、ケアマネージャーだと思いますが、その方々の情報の分析はどうだったのか気になります。もう少し利用者やケアマネの目線で考える部分があり、それが入っているともっと良かったのではないかと感じました。