Vol.241 【特別対談】いつからでも人は変わることができる――折茂武彦選手に学ぶプロフェッショナルの極意

スポーツ選手、医療・介護のプロに通じる思い

―今回の再会もテレビがきっかけです

竹川:

先日放送された「逆転人生」という番組で、折茂さんが特集されていました。私の知っている折茂さんとは違う、過去の姿を観て改めてお話を伺いたいと思ったのです。番組内でも、特に印象に残ったのが「人を感動させて初めてプロフェッショナル」という折茂さんの言葉でした。

折茂:

北海道からみなさんに感動を届けて世の中を笑顔にする”ことがクラブの理念です。プロとしてテクニカルな面で試合の楽しさはもちろん、加えて我々には何が届けられるのか――考えてたどり着いたのが“感動と笑顔”でした。笑顔になってもらえる、これこそがプロフェッショナルだと考えています。

竹川:

“プロが人に感動を与える”という点では医療職も同じ、非常に共感しました。私たちは医療・介護のプロです。患者さんに「治ってよかった」「元気になってよかった」と感動してもらえることが、我々プロとしての最終的な目標・目的。健育会グループの介護でバリューとして掲げる「安心を超えた感動」にも通じるものがあります。

必要とされることで芽生えた「使命感」。人は大きく変われる

竹川:

先ほどお話ししたように、折茂さんと初めて会った時は礼儀正しい印象でしたので、先日の「逆転人生」は衝撃的でした。やはり人間は変われるんだなと。

―変われる原動力となったのは何でしょうか?

折茂:

何度も負けようが、本当にたくさんの方が応援し続けてくださった。これが非常に大きかったですね。全盛期ほどのパフォーマンスができない私でも、最後までみなさんが必要としてくれたことはうれしく、がんばれる1つの要素となりました。

だからこそ未知の経営にも踏み切ることができたと思います。求められること、すなわち期待感が原動力につながったのです。正直、それまではファンの気持よりも結果を出すことが第一。プレイするのは“自分のため”でしたが、北海道に来てからは観客席から熱い思いが伝わり、覚悟と責任を持たなければいけないと徐々に意識も変わりました。この“責任と覚悟を持って”行動することが我々の“使命”だと思っています。北海道に来てから顔つきも変わりましたね。

竹川:

“使命感を育てる”――これは、私が新人を迎える際の講演でいつも話すことです。使命感が育つための要素の1つが勉強すること。そしてもう1つは周囲に評価され、期待されることです。期待されることによって使命感が育ち、素晴らしいプロフェッショナルになっていくと思います。

―健育会でも勉強の機会や表彰制度を設けていらっしゃいます

竹川:

私はグループ内の職員を“プロフェッショナルとして育てる”と強い思いを持って運営しています。最初から使命感がなくても構いません。しかし、理由は何であれ、健育会グループに入っていただいた以上は、医療・介護のプロとして使命感を持って業務に励んでいただきたい。そのための環境を整備しているのです。