しかし、良いことだけ言っていても内容が伴わないのではれば仕方ありません。我々の介護施設がきちんと世の中から質が高いと認められるためには、どういう施設になるべきかを考える必要があります。それが「施設理念」です。地域の特性と経営資源、建物の大きさ、人員配置、そして何よりも健育会グループの使命というものを踏まえて施設理念を規定します。
だから施設ごとに施設理念は違います。自分たちの施設理念をきちんと理解をして、職員みんながことあるごとに話し合う。そして職員全員が同じ絵を描くことが何より大切です。ベクトルを同じにすることが、効率的な経営を実現する最も効率的な方法だからです。公立病院の人たちも一生懸命働いていますが、目指すべきところがバラバラだから赤字になってしまうのです。健育会グループは、自分の病院施設の施設理念を理解して同じ絵を描くということを目標にしています。
そして昨年70周年を迎えてから全員が経営参加することを打ち出しましが、すでに皆さんに浸透していると感じています。経営資源はそれぞれ異なりますが、「健育会グループはクライアントの心を豊かにする医療介護グループだ」と世間から認められた時に、我々は本当の意味で社会的使命を果たすことができるのです。そして、そこに向かって毎日努力をしてもらえるように皆さんを引っ張っていくことが、私の使命だと思っています。
次に、バリューについてです。我々は7つのクライアントにバリューを提供することを掲げています。ご利用者、ご家族、地域、紹介元、取引先、職員、社会です。クライアントごとに求められている価値というものが違うため、それをきちんと理解して、求められている価値を提供する。これはどの施設も同じです。「ご利用者様には輝きの1日を」。こういうことを定めている介護施設はほとんどないと思います。どこの病院も質の高い医療をするとうたっていますが、介護の目的は治すことでありません。明日亡くなるかもしれない患者さんにも、生きててよかったと思ってもらう、そしていかに良い笑顔を引き出すが我々の介護施設の役割です。これはもう皆さん実践していると思いますから、これから入ってくる人たちにも教えてあげてください。