その後、審査委員長の長谷川先生から次のようなコメントをいただきました。
非常に色々な観点から、多様なご発表をしていただきました。皆さんもお聞きになって、医療・介護には、こんなたくさんの職種があり、色々な観点から物事を見ていらっしゃるということを再認識されたと思います。
この10年くらいで、地域包括ケアという考え方が出てきました。特に、大きく変わってきたのが、慢性期医療と介護であると思います。その中で、健育会グループのTQM活動セミナーも11回目ということで、その中の変化を反映するように変遷を遂げているように思います。
そのような中で、私どもが審査で、何を重視するかということを4つお伝えしたいと思います。
まず一つ目は目標です。目標設定が大切です。医療・介護の質に関連した目標設定になっているか。そして、目標は一度決めたらすぐに諦めてはダメです。また逆に、1回で達成するような場合は、目標の設定が低いとも言えます。1回目の取り組みでダメで、目標を再設定して、2回、3回と取り組んで最後に達成というのが良いストーリーだと思います。受賞しているチームはそのような取り組みであったと思います。
二つ目は、多職種です。TQMというのは、多職種で取り組むことに意義があります。例えば優秀賞の「石川島記念病院」の取り組みは、非常に綿密に取り組んでおられたと思いますが、惜しかったのは他職種の関わりが薄かったことでした。
三つ目は、仕組みとしての定着です。後々までこの改善案が仕組みとして定着し、継続して取り組んでいけるかどうかということです。そのためには、他職種で情報や問題を共有して活動しているかも重要です。また、書類やカルテの形式を変えるなど、仕組みとして定着させることが大事だと感じています。最優秀賞の「竹川病院」の取り組みでは、教育プログラムという仕組みを作り、さらに負担が多いとなったらその対策も考えて行くなど、継続性や取り組みの広がり成長を感じ、拝見していて頼もしく感じました。
四つ目は、応用です。一つの知見・知識を得られたら、それが他にも利用できるという、応用可能性があるかどうかということです。例えば、熱川温泉病院の取り組みでは、病棟ごとにとろみ茶の濃度が違ったことに着目した取り組みでしたが、そこから派生して、他に病棟ごとに違うルールでやっていることはないだろうか等洗い出しを進めるなどできると思います。ご発表のなかで、応用可能性について言及していただいているかについても、採点の視点になります。
TQM活動は、知恵を出し合う良い機会だと思います。来年は新病院・施設も加わるということで、さらなる発展に期待しています。