前半の発表を終え、亀山先生から講評をいただきました。業界の歴史やその背景にある考えを踏まえ、非常に貴重なご意見をいただきましたのでご紹介します。日本の介護福祉界を牽引される専門家視点のお話です。ぜひ明日から生かしてください。
褥瘡はむずかしいテーマです。まして対象者はご年齢が90歳代で最重度の要介護度5。非常に重要な取り組みがされる中、とりわけ印象に残ったのはチームが一丸となった対応です。現在、介護福祉教育では新カリキュラムで教育が実施されています。最大のテーマは「チームマネジメント」ですが、まさにその最先端の事例を発表だったと思います。
大変感動的な症例の発表でした。WHO(世界保健機関)では1980年「ICIDH(国際障害分類)」を採択しましたが、2001年には「ICF(国際生活機能分類)」に改定しました。障害レベルを追求することよりも“患者本人がどのような生活を求めているか”に焦点を当てたものです。ライフケアガーデン湘南の発表は、その実践事例だったと思います。
アメリカの心理学者・マズロー氏が唱える「欲求階層説」は、福祉においても重要です。氏は最高位に「自己実現」を与え、さまざまな欲求をどう実現するのかを説いていますが、本事例はまさにその内容を踏まえています。
また社会福祉学者・一番ヶ瀬康子氏は生前「福祉は単なる生存保障ではなく、その文化の追求にもっと視点を当てるべきだ」とおっしゃっていましたが、陶芸やマンドリンなどはその文化の一例です。ぜひ他の事業所や施設で参考にされてください。
上智大学のアルフォンス・デーケン氏は、常々死の問題について考えていました。「死への準備をすることは、より長く生きること、そして生活の質を高めること」とし、死を単に問題視するだけでなく“どう受け止めるのか”といった生き方に着目しています。加えて、今回の事例では、患者さん自身が自ら受容する“自己受容”というテーマも含まれていたと思います。
コミュニケーションによって患者さんの意欲が向上した事例でした。「時間がない」「人手が足りない」などの理由で十分に取り組めないケースも見られますが、近年介護系では、単なる物理的なケアではなく、患者さんやご家族に納得いただけるコミュニケーションを重視しています。AKB48の高橋みなみ氏の著作『リーダー論』では、500人のチームをまとめた手法が書かれています。機会があれば読んでください。