そして私が実際に考えたミッションが「光り輝く民間病院」です。 30年前私が理事長になったときは、民間病院は医療のレベルが低いから利益を出すことができるが、公的病院は医療のレベルが高いから赤字になるのは当然という常識がありました。日本に税収による豊かな財源があった時はそれで良かったのですが、そうもいかなくなってしまいました。よって、JRが国営から民営化され、郵政も民営化されました。そこで日本は止まっているんです。このまま止まっていたら、日本はどんどん衰退します。したがって、病院ももっと規制改革をして、民間を活用できるようにするというのが私の持論です。去年、経済同友会に復帰してそのような意見を述べました。
実際に2008年に医療崩壊がありました。国立病院にお金がなくなり、赤字病院は補填しないということが始まりました。どんどん国立病院の倒壊が進んでいます。日本の人たちが医療を受けにくくなるわけです。
日本は国民健康保険という良い制度を作って、誰でも安い費用で医療にかかることができます。せっかく作ったその制度を守っていかないといけません。そのためには、国立病院の民営化を推進し、民間の力で国立病院を経営していくことが必要です。それが「光り輝く民間病院」という経営理念に掲げているミッション・使命。そのために健育会があると考えています。
そして、民間として大事なことはスピードとチャレンジです。スピードを持って対応した実例を紹介します。1つ目は、東日本大震災で当時の石巻港湾病院(現在は石巻健育会病院)が津波被害を受けた時のこと。同じく被害を受けた石巻市立病院は3日で病院を閉鎖しましたが、石巻港湾病院は電気もなく水もなくライフラインが断絶した状態の中、患者さんの命を救うため診療を続けました。救急をしていないため公的支援をほとんど受けられなかった民間病院が、なぜ診療を続けられたのか。それは、健育会グループの支援があったからです。国や県の支援を受けられる市立病院が国や県の支援を受けられる立場にも関わらず早期に閉鎖したのは、組織が大きすぎて適時適切に動けなかったからです。
そして、健育会グループのすべてのネットワークを通じて、半年後には完全復旧しました。これが健育会グループのスピードです。このことは、「医療タイムス」をはじめ、いろいろな週刊誌や雑誌でも取り上げられました。