Vol.309 2024年度の新入職員中途研修を実施しました

2つ目は、震災の被害を受けた、いわき湯本病院です。ここは津波被害もなく、建物も無事でしたが、風評被害で町がもぬけの殻になり、ガソリンがなくなったために給水車が走らず、断水になりました。そこで健育会グループはネットワークを駆使して、静岡から15トンの給水車を送ることができました。我々はこうしたスピードとネットワークで困難を乗りこえながら、たくさんの命を救ってきました。

西伊豆健育会病院は、私が理事長になってから最初に作った過疎地の救急病院です。大きな救急病院まで2時間かかり、救急車の中で出血多量で亡くなった患者さんがいて、静岡県から要請を受けて当時60床の救急病院を作りました。周囲からは「絶対に黒字にならない」と言われましたが、私たちには使命がある。そのため、“絶対に救急を断らない”という理念を掲げ、その使命のもと街を支えています。

そして、慶應義塾大学の藤沢キャンパスに隣接する湘南慶育病院。そもそもは藤沢市が慶應義塾大学に病院を作ってほしいと要請していましたが、10年以上手をつけずにいました。場所が山の中にあり、周囲に何もないため経済的な採算を出すのが難しかったからです。そして市長が代わり、慶應大学から健育会にその話がきました。山の中にあるにも関わらず患者さんが日に300人も来られます。今やっと黒字になりつつあり、この状況に慶應義塾大学の先生方もびっくりされています。また、病院内には研究施設も作り、藤沢キャンパスの学生たちがここで研究をしています。

最後に、コロナ禍における石川島記念病院の例です。救急の受け入れもしていなかった病院を、たった1ヶ月でコロナ専門病院に転換し、多くの患者さんを受け入れたのです。この決断に対し私は職員が半分でも残ってくれればいいなと思っていましたが、ワクチンを打てない3人の退職だけで、みんな残って頑張ってくれました。このことは「報道ステーション」でも紹介されました。

まとめますと、民間病院は健全経営、そして先ほどもお話しましたが、スピードとチャレンジが大事です。やると決めたら早いスピードで実行する。そして民間はチャレンジしなければならない。国営は前例がないことはチャレンジできません。すぐ「誰が責任を取るのか」となります。では皆さんがチャレンジしたとき、誰が責任を取るのか?理事長の私が取ります。健全経営、スピード、チャレンジ。この3つが光輝く民間病院グループのキーワードになります。