前半の発表を終えて、亀山教授から講評をいただきました。
1:介護付き有料老人ホーム ライフケアガーデン湘南
改めて介護の基本を学ぶ機会をいただいたと思います。介護の基本は人権保障にあります。その人権に
は自由権があり、外出の保障はその自由権の重要課題です。今回の症例はその成果だと思います。あり
がとうございました。
2:介護付き有料老人ホーム ライフケアガーデン熱川
この症例は終末ケアにおけるチームケア実践の成果を知ることができます。また、ヒューマンニーズの
マズローの欲求5段階説の最高位の自尊のニーズ、また自己実現のニーズに接近し、ケアマネジメント
のストレングス理論における本人の可能性を追求する内容でした。
3:介護老人保健施設 しおさい
ストマーク増設に関連した食べる幸せの内容でしたが、以前視察した社会訓練協議会のレポートの内容
を思い出しました。そのレポートでは、食事の内容とそれがどのように準備されるかは、重要な処遇の
要素である。食事は精神的な言葉と深く関連している。児童期や家庭生活の記憶を呼び出すこともある
、と述べられていました。この症例は日常のケースですが、まさに該当する症例と言えるのではないで
しょうか。
また著名な哲学者のミルトン・メイヤロフの本には、病人以外の人格をケアするには私はその人とその
人の世界を、まるで自分がその人になったように理解しなければならないというような内容があります
が、それに関連したような症例だったと思います。
4:特別養護老人ホーム ケアポート板橋
これまでの問題につきまして、私は全国の有数の社会法人施設にスピーチに出かけることがありますが
、ここ数年最も多く尋ねられるテーマです。ぜひ多くの施設に紹介してほしいと思います。
私が働いていた施設でリハビリ訓練をしていた利用者が、人の不幸があり墓参りがしたいと言いました
。しかし山の下だから少し訓練しないと、とお伝えしました。それから訓練が始まり、数ヶ月後に墓参
りができました。本人は涙を流して喜んでおりました。ノーマライゼーションの提唱者のひとり、ヴォ
ルフェンス・ベルガーは、外出等の重要性を唱えています。そういった点で、ベッドに拘束して隔離終
了したり、本人の人能能力を奪っているような問題・施設に対して問題提起をした症例となりました。
5:介護老人保健施設 ライフサポートひなた
「故郷の味」をテーマにした症例でしたが、私はこの症例から2つのことを学びました。1つはケアマ
ネジメントとケースマネジメントの違いについて理解ができました。この症例は生活的な考察を対象に
していますが、これはケースマネジメントの捉え方です。ケアマネジメントは、ケアを始める前後から
考察の対象にしています。もう一つはWHOのICM国際生活機能分類の環境認証を重視する、人的物的
社会環境から生活支援、自立支援を考え、本人の意欲を支援する内容です。この症例はそのことを的確
に指摘されていると思います。
6:ケアセンターけやき 通所介護
食べることをあきらめないチームケアの実践というテーマでしたが、障害福祉研究の長田克司先生は、
人間は2つのものを食べて発達を遂げると説きました。1つは無自由を食べて発達を遂げる。もう1つ
は栄養を食べて命を果たさせると指摘しました。
また、日本福祉大学の近藤玲子先生は、障害者にとって自由になる可能性を限りなく追求し支援するこ
とに関しての心髄があるとしました。また、社会福祉施設処遇研究の関先生は、食事の場面は施設の生
活の質が問われていると自覚すべきだともとしました。これらと関連して、この度の発表があったので
はないかと思います。